October 18, 2004

犬および猫のてんかん発作に対するゾニサミドの使用経験

10月17日に大阪府立大学で実施された平成16年度日本小動物獣医学会(近畿)に参加しました。

小動物関連で45題の発表が行われました。その中で、てんかん(癲癇)に関連した発表が3題ありましたが、以下の発表は投与量も明確で、1年間を経過して特に副作用もないとのことですので、ぜひ特筆したく紹介させていただきます。
但し、全文をご紹介することはできませんので、一部のみの引用となりますことをご容赦下さい。

犬および猫のてんかん発作に対するゾニサミドの使用経験
発表者氏名:○宮 豊1)  宮紀子1)  安田和雄2)
発表者所属:1) みや動物病院・兵庫県  2) 安田動物病院・兵庫県

症例1) 雑種犬 7歳 避妊雌 体重15.4kg 稟告(りんこく):他院にてジアゼパム単剤による治療が行われていたが、これに反応せず1日に5~6回のてんかん発作を主訴に来院した。
症例2) メインクーン 2歳 去勢雄 体重4.7kg 稟告:他院にて特発性てんかんの診断後、フェノバルビタール等を処方されていたものの1週間に1回以上のてんかん発作を起こしていた。

経過(抜粋):
症例1) 特発性てんかんと仮診断し、フェノバルビタール(2mg/kg)と臭化カリウム(30mg/kg)を投与。
症状に応じて用量を増減するも、4ヵ月後にふらつき等の副作用から臭化カリウムの使用を断念。
フェノバルビタールとゾニサミド(3mg/kg)の投与を開始。
以来、6mg/kgに増量し、血中濃度は19.0μg(マイクログラム)/mLで、月に1回軽度のてんかん発作を認めるものの、比較的順調に経過。

症例2) フェノバルビタール(4mg/kg)、ビタミンB、タウリンを4ヵ月間にわたり処方するも、週に1回以上の発作が発現。
フェノバルビタールに臭化カリウム(10mg/kg)を併用、軽度の部分てんかん症状は認められるが用量を症状に応じて増減。
7ヵ月後に発咳、発熱、8ヵ月後に排尿困難となったため、臭化カリウムを中止。
フェノバルビタール単剤では発作をコントロールできないため、ゾニサミド(4mg/kg)を投与開始。
臨床症状に合わせて10mg/kgまで増量し、血中濃度が73.1μg/mLと高値を示すものの、経度の部分てんかんが数ヶ月に1度発現する程度で比較的良好にコントロールされている。

結論(引用):
てんかん発作は生涯にわたる治療が必要な疾患であることから、今後特に副作用の発生に十分注意しながら、慎重に経過を観察する必要があると思われる。

---------------ペットポータルの追加情報-------------------

宮先生は、個人的にも存じ上げておりますが、普段から非常に熱心に患者さんのことを考えて診療されておられます。
日本では、まだ抗てんかん薬として農水省から承認された動物用医薬品はないため、獣医師は薬事法や獣医師法上、認められた権限として人体用の医薬品を、動物用の治療薬として用量と副作用に注意しながら処方している状況です。
今回、処方されているゾニサミドは、エクセグランの製品名で販売されている比較的新しい抗てんかん薬です。
今回の情報が、他にてんかんで苦しんでいるワンちゃん・ネコちゃんの飼い主さん、獣医師の先生方のご参考になればと存じます。

その他の日本小動物獣医学会(近畿)で発表された演題名は以下のリンクからどうぞ:
近畿地区三学会


投稿者 Yuki : 10:10 PM | コメント (3)