April 27, 2010

狂犬病予防は必要です。

現在、全国各地で狂犬病の予防接種が行われています。
その際、必ず話題として出るのが、「もう狂犬病予防は不要ではないか」という意見です。

日本国内では発生は今のところありませんが、BSE、鳥インフルエンザ、口蹄疫などの海外での疾病が日本に入ってきていることを考えれば、いつ日本に入ってきてもおかしくない状況を忘れてはなりません。

特に留意すべきは、狂犬病は犬だけではなく、人にも罹り、発症後の死亡率は100%であるということです。
日本もかつては狂犬病による人間の感染が年間100名を超えていた時代がありました。
それが、1950年の狂犬病予防法の施行により、死者を激減させることに成功したのです。
rabies_graph.JPG

残念ながら、2006年に2名の日本人が狂犬病で亡くなられましたが、どちらも海外渡航中に犬に咬まれたことで伝染したとのことです。

ケース1:

2006年、フィリピンより帰国した男性が、現地で狂犬病ウイルスに感染し、国内で発症したことが確認された。
患者情報
(1) 年齢・性別 60歳代 男性
(2) 経過
11月 9日 風邪様症状を呈しA病院を受診。
11月12日 水が飲みにくく風が不快との症状によりB病院を受診。
脱水症状が認められたことから、点滴を受け帰宅。
11月13日 幻覚症状を呈し、再度B病院を受診。
恐水及び恐風症状が確認され入院。  
11月14日 人工心肺で処置中。11月16日、死亡。
(3) 感染原因  当該患者は、フィリピンに渡航中(8月末)、犬に手を咬まれており、これにより狂犬病に罹患したと判断される。なお、現地における暴露後のワクチン接種は受けていないもよう。

検査に関する情報  国立感染症研究所において、PCR法による病原体の遺伝子の検出を試みたところ、狂犬病ウイルス遺伝子を確認。

ケース2:

今般、フィリピンより帰国した男性が、現地で狂犬病ウイルスに感染し、国内で発症したことが確認された。

患者情報
(1)年齢・性別 60歳代 男性
(2)経過
11月15日 風邪様症状と右肩の痛みが発現。
11月19日 A病院を受診。点滴及び血液検査を受け帰宅。
夕方薬を服用しようとしたが、飲水困難となる。
夜になり呼吸困難を呈する。
11月20日 A病院に再度受診。興奮状態となり、恐風症状及び恐水症状を呈していることから、狂犬病の疑いがあるとしてB病院に転院。
11月22日 人工呼吸器を装着。 12月7日  死亡
(3)感染原因  当該患者は、フィリピン滞在中(8月頃)、犬に手を咬まれており、これにより狂犬病に罹患したと判断される。なお、現地における暴露後のワクチン接種は受けていない。
検査情報  国立感染症研究所において、PCR法により、狂犬病ウイルス遺伝子を確認。

このフィリピンだけでなく、世界中で狂犬病は今なお蔓延しています。
今年、ニューヨークのマンハッタンでも、セントラルパークでアライグマ40匹に狂犬病感染が確認されており、犬1匹と人が2名咬まれる事故が起こっています。
ニューヨークに狂犬病の脅威

世界中でも日本のように狂犬病の感染のない国は極めてまれなのです。
そして、それは日本が島国であることも大きな地理的な要因でしょうが、狂犬病予防法があり、水際でくい止められていることが非常に大きい理由だと思います。

rabies_map.JPG

以下にアンケートがなされていますが、6割の方が狂犬病予防接種は必要と考えておられます。
過半数を超えているのでまだ安心とみるべきか、もっともっと啓発が必要と考えるべきか。
いずれにせよ、狂犬病予防接種は必要だとペットポータルは考えています。

投稿者 Yuki : 10:05 AM | コメント (0)

April 15, 2005

日本でも公的に犬猫の狂犬病抗体検査が行われる施設の指定が行われました。

新しい犬猫の検疫制度において、農林水産大臣が指定する検査施設に、財団法人畜産生物科学安全研究所(神奈川県相模原市)RIAS Web Site - 研究所紹介が指定されました。現時点では、日本で唯一指定された検査施設です。

1検体当たり12,000円(消費税等含む)ですが、身体障害者補助犬法第2条に規定する盲導犬、介助犬及び聴導犬の場合は、検査料金が免除されるとのことです。

GW(ゴールデンウィーク)に海外に犬や猫を連れて短期旅行される方もおられると思いますが、短期旅行であっても、海外に犬猫を連れていくときは輸出検疫を、日本に帰国するときは輸入検疫を受けなければなりません。

新制度では、日本に帰国する際、旧制度では14~180日間とされていた到着時の係留期間を12時間以内に短縮されることになりましたが、出国前の飼主側の事前の準備や届出が不備な場合、旧来通り最長180日間の係留が必要となる場合があります。

基本的には、事前に次の事項を行い、必要な書類(各種様式等)を準備することとなります。
1 マイクロチップによる個体識別
2 不活化ワクチンによる複数回(2回以上)の狂犬病予防注射※
3 農林水産大臣が指定する検査機関での狂犬病ウイルスに対する血清中和抗体価の確認

※マイクロチップを装着(個体識別)せずに行った予防注射は、犬猫の輸入検疫における係留期間を短縮するための予防注射と認めることができません。このため、マイクロチップを装着した上で予防注射をして下さい。

よくある質問Q&A(日本から犬、猫の持ち出しについて)

また、マイクロチップの装着、狂犬病予防注射、血清中和抗体検査のための採血については獣医師のみが行えるものであり、また、検査機関への血清送付及び検査結果の証明についても診療施設で行われることが望ましいため、獣医師側の事前の理解も重要です。

獣医師の皆様へ

不明な点があれば、動物検疫所にお問い合わせ下さい。
農林水産省動物検疫所ホームページ

ペットポータル関連記事:
■ペットポータル■: 犬等の新しい検疫制度とマイクロチップ

投稿者 Yuki : 12:17 AM | コメント (0)

March 12, 2005

ワクチン接種の回数について議論する前に、日本で忘れられていること

犬猫のワクチンの追加接種は3年に一度で良いのではないか、というアメリカやヨーロッパでの議論を受けて、日本のペット医療においても、犬と猫のワクチン接種について、何年も議論が続けられてきています。
議論の内容は大きく分けて3つに分けられると思います。
(1)免疫の成立期間や持続期間に関する疑問に基づくもの
(2)ワクチン接種の副作用(副反応)に関するもの
(3)日本と海外の違いに基づくもの

但し、大事なことが忘れられていないでしょうか?議論は科学的な根拠(エビデンス)に基づいて行われなければなりません。日本での状況を踏まえた上での議論になっているのかということです。そして、海外で行われている議論を日本にそのまま持ち込むことは危険を伴うということです。 論点によっては、欧米においてもまだ根拠が不十分で結論が出ていないものも、数報の論文に基づいて、考え方のみが日本に持ち込まれている場合があります。

これらに対して、日本をはじめ海外でも活躍されている、日本有数のベテリナリー(獣医療)コンサルタントの秦敦朗先生が、アニマルメディア社の小動物臨床家向け月刊誌InfoVets インフォベッツ 2005年2月号54~57頁で非常に興味深い論説を書かれておられますので、著者の許可を得て転載いたします。

この論説は、「海外の小動物獣医師事情 from UK ~最近の英国における犬用ワクチン接種論争~」と題するもので、
「英国で市販されているワクチンの接種プログラム」
「ワクチン接種の効用」
「ワクチン接種による危険性」
「免疫の持続期間とブースター効果」
「Burr博士の勧告」
「日本における犬および猫のワクチン使用状況」
の6章節からなります。

その内の最後の「日本における犬および猫のワクチン使用状況」で、秦先生が論述されている通り、日本でのワクチン接種率は、海外に比べて非常に低いレベルに留まっています。狂犬病ワクチンでさえ45%程度であり、厚生労働省が感染蔓延防御に必要とする70%に及びません。
まず、ワクチンのブースター(追加接種)が3年で1回でよいとか、硬結(注射部位で、炎症が生じて結合組織が増殖し、硬化すること)などの副作用が心配で注射しない、と論議する前に、以下で述べられている通り、まず日本での状況について調査して、日本における科学的な根拠と実情に基づいた議論が必要とペットポータルでは考えます。

「日本における犬および猫のワクチン使用状況」

筆者は前述のように本誌に米国および英国のワクチン接種プログラムと問題点を紹介してきた。しかしBurrが指摘しているように、日本でも米英とは病気の発生率、病原体保有生物の分布、ワクチン接種率、その他飼育環境が異なるので、他国の接種指針をそのまま受け入れることには問題があると思われる。
 日本における最近5年間の犬と猫の飼育頭数と市販されているワクチンの数量を表2、3に示した。
table2.JPG
table3.JPG
この表で明らかなように、法律で強制されている狂犬病のワクチンですら接種率は45%前後であり、ジステンパーを含む多価ワクチンの接種率はさらに少なく、子犬を除くと成犬の70~80%はほとんど接種されていないと思われる。猫はさらに少なく、子猫に指示どおり2ドース接種するだけの量は市販されていないことから、成猫にはほとんど接種されていないようである。このように集団における免疫率が低いと高病原性ウイルスが輸入される犬、猫、エキゾチック・アニマル、その他の媒体によって国内に持ち込まれた場合には大発生することが懸念される。したがって、外国のようにブースターによるワクチンの過剰接種を論議する以前の問題として、どのようにしてできるだけ多くの動物に基礎免疫を獲得させるかがわが国における喫緊の課題であろう。また日本のコア・ワクチンの対象となる感染症の全国的な疫学的調査と動物の中和抗体価の測定が望まれる。


(以上の引用については、秦敦朗先生の著作権がありますので、個人的利用は除き、二次的利用は堅く禁じます。)

投稿者 Yuki : 03:49 AM | コメント (4)

March 03, 2005

犬等の新しい検疫制度とマイクロチップ

平成16年11月から狂犬病の侵入防止等の目的で外国から日本に犬等を輸入する場合の検疫制度を改正されました。この中で、マイクロチップの埋め込みが義務づけられています。

今回、全国の獣医師向けに発行されている雑誌「VMA News」(非売品、大日本製薬(株)発行)に次の記事が掲載されています。
獣医師も飼い主の方も読まれておくことで、役立つと思われるので紹介します。


新しい犬等の検疫制度とマイクロチップについて

先生! 海外にペットを連れて行きたいのですが、どうしたら良いの?

(PDFファイルで作成されています。読み取りソフトをお持ちでない方は、下記からどうぞ)
Adobe Reader - ダウンロード

ペットポータル関連記事:

■ペットポータル■: 英国のペットパスポート

■ペットポータル■: 英国で、マイクロチップ埋め込み促進のイベント開催

■ペットポータル■: 輸入犬には狂犬病予防接種とマイクロチップ

■ペットポータル■: 体温も測れるマイクロチップが登場

■ペットポータル■: 環境省の「家庭動物の終生飼養推進事業」

■ペットポータル■: 新しく子犬を飼ったら、登録を受けましょう。


投稿者 Yuki : 11:20 PM | コメント (0)

February 22, 2005

ドイツで臓器移植で狂犬病感染

BBCによると、狂犬病に感染した脳死患者1名からドイツで臓器移植を受けた6名の内、ドイツ人2名が、21日までに狂犬病に感染し、死亡されたとのことです。

ドナー(臓器提供者)は26歳の女性で、インドに滞在経験があるとみられています。この女性自身は、昨年12月に心臓発作で死亡されました。

BBC NEWS | World | Europe | Two die in German rabies outbreak

ドイツ臓器移植基金(The German Organ Transplant Foundation)によると、このドナーは狂犬病の徴候を示しておらず、移植前に、細菌、ウイルス、腫瘍の検査が行われていたとのことです。

残り4名の内、1名は重体とのことですが、残り3名は何ら異常は認められていないとのことです。

ペットポータル関連記事:

■ペットポータル■: 1.狂犬病が日本で発生したら: はじめに
■ペットポータル■: 2.狂犬病とは
■ペットポータル■: 3.狂犬病予防のかかえる課題
■ペットポータル■: 4.狂犬病、日本再発のシナリオ
■ペットポータル■: 英国のペットパスポート
■ペットポータル■: 犬等の新しい検疫制度とマイクロチップ


投稿者 Yuki : 11:05 PM | コメント (0)

December 01, 2004

狂犬病発症の15歳少女、薬物治療だけで奇跡的回復

いつも良質な情報提供をされているJapan Dog Journalさんから、ペットポータルに狂犬病の治療に関しての新知見を教えてくださいました。

Japan Dog Journal: 狂犬病発症の15歳少女、薬物治療だけで奇跡的回復

もし、狂犬病に感染した動物(犬だけに限りません。猫にもキツネやタヌキにも牛にもコウモリにも、多くの動物が感染します)にかまれた場合、1~2ヶ月の潜伏期間を経て、前駆期、急性期、昏睡期を経て、発症すると死亡率はほぼ100%です。
また、急性期の神経症状がみられずに麻痺が全身にひろがる麻痺型というのもあり、特にコウモリに咬まれて発病したケースに多いとされています。今回のケースはこれですね。

通常は、咬まれた後に発症を防ぐために(1)暴露(ばくろ)後ワクチン接種を行う、(2)人抗狂犬病免疫グロブリンを行う、という方法が取られますが、今回は、発症を防ぐためのワクチン接種などをしなかったため、神経症状がでて、入院したとのことです。

 

医師団は少女の神経症状を抑え、強い薬剤の影響から弱った神経系を守る目的で、麻酔薬と抗ウイルス剤の計4種による「カクテル療法」を決断。少女は奇跡的に回復したとのことです。

米国感染症予防センター(CDC)では、ウイルスの除去を確認し、ワクチンを使わない世界初の生存例であることを確認したとのことです。

すべての狂犬病患者に適用できるものではないと存じますが、致死率100%という恐怖から考えれば、非常な朗報だと存じます。

ペットポータル内での関連情報:
■ペットポータル■: 1.狂犬病が日本で発生したら: はじめに
■ペットポータル■: 2.狂犬病とは
■ペットポータル■: 3.狂犬病予防のかかえる課題
■ペットポータル■: 4.狂犬病、日本再発のシナリオ
■ペットポータル■: 狂犬病が日本で発生したら・・・ アーカイブ

狂犬病関連情報:
日本獣医師会 狂犬病関連情報
IDWR 感染症の話
海外旅行をされる皆様へ
米国感染症予防センター 狂犬病(英語)


投稿者 Yuki : 07:22 AM | コメント (0)

November 05, 2004

11月6日から犬猫等の検疫制度が変わります。

■ペットポータル■: 狂犬病で11月から検疫強化 農水省、省令改正へでもご紹介したように、平成16年11月6日、犬、猫、きつね、あらいぐま、スカンクの新しい検疫制度がスタートします。

狂犬病予防接種は、法律で決められており、生後9ヶ月以上の犬を飼っておられる飼い主の義務ですが、現在、日本での狂犬病予防注射の接種率が50%を切っていると予想される状況です。
もし、狂犬病感染犬が1頭でも入ってきたら、発症後の致死率は人でも動物でもほぼ100%という狂犬病に対して、日本では、鳥インフルエンザやBSE(いわゆる狂牛病)の例を引くまでもなく、過剰に反応してパニックが起こる可能性が大いにあります。

農林水産省動物検疫所広報ポスター

農林水産省としても、ペットブームに水をさすつもりはなく、あくまでも人と動物の健康管理が目的だとしております。

より詳しい情報は以下の動物検疫所から得ることが可能です。

動物検疫所ホームページ

今回の改正により、規制が緩和されている部分もあります。

指定地域(狂犬病の発生のない国・地域)から犬・猫を連れてくるときは、マイクロチップによる個体識別などの必要事項が記載された輸出国政府機関発行の証明書があれば、12時間以内の係留期間となります。

指定地域以外から連れてくるときは、輸出国政府機関発行の証明書で輸出国でマイクロチップによる個体識別、狂犬病予防注射と狂犬病の抗体価の確認、輸出国での180日間の待機を行ったことが確認できる場合は、12時間以内の係留期間となります。 それ以外の場合は180日間の係留期間となります。

また、指定地域以外から日本に連れてくる犬又は猫においては日本の農林水産大臣が指定する検査施設で狂犬病ウイルスに対する抗体価を確認すること等により係留期間が12時間以内となります。検査施設は現在、指定手続き中で2004年11月11日に公表される予定となっています。

2005年6月6日までは、移行期間として一部、経過措置が設けられています。

このような人と動物の健康に関わる事項についてに限りませんが、法律でカバーされていることの多くは、あくまでも最低限度であると理解した上で、遵法精神が強く求められると存じます。

投稿者 Yuki : 02:55 AM | コメント (0)

October 06, 2004

狂犬病で11月から検疫強化 農水省、省令改正へ

狂犬病の日本侵入を阻止するために新たな対策が今年11月から実施されます。

狂犬病ウイルスの侵入対策を強化するため、農水省は5日、
狂犬病発生国から子犬と子猫を輸入する際に2度のワクチン
接種とマイクロチップによる個体管理を義務付ける新たな検
疫制度を、11月6日から実施することを決めた。狂犬病予防
法の省令を改正する。

ワクチン接種後の待機期間を含めると、狂犬病発生国から
は生後10カ月未満の犬猫は輸入できなくなる。狂犬病が発
生していない国、地域からの輸入にワクチン接種は必要ない
が、マイクロチップによる個体識別は義務付ける。

生後10カ月以上や試験研究用、未発生国・地域からの輸入
に限り、来年6月6日まで現行の検疫制度で輸入できる。
新制度では、輸入時に検疫所などに留め置く期間をこれま
での180日間から12時間以内に大幅に短縮する。
(以下略)    【記事提供:共同通信社】

これは、下記の農林水産省で実施されたパブリックコメントの結果を受けて、国民の理解が得られたとして行われるものです。

犬等の輸出入検疫規則の一部を改正する省令案についての意見・情報の募集結果について

パブリックコメントの募集期間中、30の意見が寄せられ、それらを類型別して、農林水産省からの回答がなされています。

PDFファイルを読むソフトをお持ちでない方は、こちらからダウンロード可能です。
Adobe Reader - ダウンロード

投稿者 Yuki : 12:10 AM | コメント (0)

July 21, 2004

輸入犬には狂犬病予防接種とマイクロチップ

すでに多くの方がご存知のことと存じますので、備忘録として:

西日本新聞によれば、「子犬の輸入による狂犬病の侵入を防ごうと、農水省の専門家会議「犬等の検疫制度検討会」(座長・吉川泰弘東大大学院教授)は二十日、制度改革案をまとめた」とのことです。

犬猫 「10ヵ月未満」輸入を禁止に 狂犬病対策を強化

(1)狂犬病発生国・地域から輸入する場合、生後10ヵ月未満の子犬は輸入を禁止する
(2)犬を輸入する場合、発生国・地域に限らず、個体識別ができるマイクロチップの装着を義務づける

というのが柱で、年内に省令改正を予定しており、早ければ来夏から実施するとのことです。

今年3月に農林水産省が出した幼齢犬の輸入自粛要請についてでは、生後4ヶ月齢未満の犬の輸入自粛が求められていましたが、4ヵ月後に見直しがなされました。

また、朝日新聞では、以下のように解説されています。

子犬の輸入、来春禁止へ 狂犬病発生国の11カ月未満 - asahi.com : 社会

狂犬病の発生国の場合、これまで2週間から6ヶ月間は検疫のために留め置かれてきました。
(参考)

しかし、今回、この輸入時の検査期間を「原則即日(12時間以内)」と大幅に短縮する方針だとのことです。
海外で生活されていて、日本に犬を伴って帰国される飼い主さんにとっては朗報になりますね。
但し、複数回の狂犬病予防接種とマイクロチップの埋め込みなど、海外での事前の管理が厳しくなります。

農林水産省では、「ペットブームに水をさすわけではなく、あくまでも人と犬の健康管理が目的」と強調しています。


投稿者 Yuki : 11:59 PM | コメント (0)

July 03, 2004

臓器移植で狂犬病感染 米CDCが初確認

米国で臓器提供者(ドナー)が狂犬病に感染していることを知らずに、臓器移植された4名が全員死亡するという事故が生じました。
米国では、人では感染がないものの年間7,000頭強の動物(アライグマ、スカンクなど)の狂犬病の感染があるとのことです。
今後の詳細な調査結果の発表が待たれますが、やはり動物で常在的に発生があると、人への感染の機会が生じるということではないかと考えます。

ペットポータルをご訪問下さっている飼い主の皆さんは、今年ワンちゃんに狂犬病の予防接種を行って下さっていると存じます。

「ほとんどの伝染病の流行を防ぐには、感受性集団(感染する可能性のある集団)のうちの70%が予防接種を受ける必要がある」と19世紀にルイ・パスツール(Louis Pasteur)博士は予測しました。現在でも、この70%ルールの有効性を世界保健機関(WHO)や米国疾病対策センター(CDC)などの世界的な公衆衛生機関が認めています。
今年の狂犬病予防接種率は何%だったのでしょうか。
誰かが予防しているだろう、という考えでは、問題が起こったときに対処できません。
今はまだ、日本で動物でも狂犬病の発生の報告はありませんが、日本のように発生のない国はむしろまれです。
■ペットポータル■: 渡り鳥がウイルス持ち込み 鳥インフルエンザで報告書で書きましたように、周辺国から持ち込まれてしまう危険性があることを認識すべきだと思います。

もし愛犬の狂犬病の予防接種がまだの方、ぜひ予防なさいますようお勧めします。

以下は記事です。重要な記事ですので、全文を転載します。共同通信社様に深謝します。

臓器移植で狂犬病感染 米CDCが初確認

記事/提供:共同通信社

【ニューヨーク7月1日共同】米政府の疾病対策センター(CDC)は1日、臓器移植で
狂犬病に感染し、死亡した事例が国内で初めて確認されたと発表した。
 それによると、臓器提供者(ドナー)はアーカンソー州の住人で、5月4日に死亡。
肺、腎臓、肝臓が摘出され、4人に移植された。1人は手術中に死亡。
テキサス、オクラホマ両州で移植手術を受けた他の3人もその後に死亡し、解剖で
狂犬病感染が確認された。
 ドナーは死亡時に狂犬病の症状を示していなかった。臓器移植に際しての適格
検査には狂犬病の検査は含まれていない。
 CDCによると、角膜移植では過去に狂犬病が感染した例がある。
 狂犬病は通常、感染した犬などの哺乳(ほにゅう)類にかまれたりしてウイルスが
感染、中枢神経が冒されて死亡する。
 CDCによると、狂犬病は2001年にハワイを除く米国内で動物の感染例7437件が
報告され、その93%はアライグマ、スカンク、コウモリ、キツネなどの野生動物が
占める。人間の感染例はなかった。


投稿者 Yuki : 11:59 PM | コメント (0)

May 17, 2004

狂犬病防止で検疫強化へ 農水省が検討会

共同通信によれば、5月14日に農水省で有識者による検討会が開かれ、輸入検疫制度の強化について協議されたとのことです。 ワクチンの接種時期や個体の識別方法を見直し、年内に狂犬病予防法の省令改正を目指すとのことです。

 狂犬病ワクチンは生後3カ月以上の犬に効果があるとされるが、
近年のペットブームで生後間もない犬の輸入が急増。
またウイルスの潜伏期間が国際基準で180日とされているのに、
現行制度では、輸入後30日の留め置き期間を経過すれば輸入
を認めている。    (共同通信社 5月17日)

 検討会では、ワクチンの種類や接種時期、回数のほか、輸入犬の血液検査の必要性なども協議されるとのことです。また、輸出国からの証明書に不備があるケースも目立つため、マイクロチップを使った個体識別方法なども検討するとのことです。

■ペットポータル■: チップなら、迷子も登録も狂犬病予防接種率もうまく行くでも申し上げたように、マイクロチップによる個体識別が普及すれば、国内での狂犬病予防接種率の正確な把握も可能になります。
ぜひ早急に前進するよう、今後ともWatchしていきましょう。


投稿者 Yuki : 01:01 AM | コメント (0)

May 01, 2004

チップなら、迷子も登録も狂犬病予防接種率もうまく行く

タイトルに掲げた問題については、マイクロチップが一つの解決策になると、ペットポータルでは考えます。

チップを導入することにより、大きな利点がいくつもすぐに挙げられます。
まず第1に、ペットの迷子探しに役立ちます。

下の記事にある通り、海外では何と! 10年経って、見つかったネコちゃんの例だってあるんです。

「マイクロチップのおかげで10年後にネコ、戻る」
MSNBC - Chip helps cat return after 10 years

こちらは、2年後に見つかった事例です。
「ID(個体識別)チップが、2年間離れた犬と家族を結びつける」
channelcincinnati.com - News - ID Chip Reunites Dog With Family Two Years Later

このように、チップを入れていればこそ、遠く離れてしまった場合でも、何年も離れ離れになっても、個体を識別することができてめぐり合うことができるのです。

第2に、ペットの登録がスムースに行くと考えられます。
皆さんのワンちゃんはちゃんと登録されているでしょうか。
今、日本では飼われている犬の半分くらいしか登録されていないと試算されています。
ひょっとすると、飼い主さんの中には、犬は登録しなければならないということをご存知ない方もおられて、登録されていないのかもしれません。
昔は、毎年登録が義務づけられていましたが、今は一生に一回、登録すればOKです。
でも、半数しか登録されてないので、国では義務化も検討しているようです。

ペットの皮下に戸籍情報 無責任飼育、チップ義務化検討 - asahi.com : 社会
    ペットの皮下にマイクロチップを埋め込むことを法律で義務化
    する動きが強まっている。チップの情報と照合すれば飼い主
    が分かる仕組みで、いわばペットの「戸籍」。(原文引用)

この記事の見出しにもあるように、捨て犬・捨て猫の防止になるという効果も副次的な効用として挙げられます。 でも、その人の「捨てる」という行為自体に問題があるので、決定的な解決策になるかどうかは疑問な部分もあります。

第3には、国、都道府県あるいは市町村で狂犬病予防接種率を正確に把握できるようになります。
先程の登録の部分に関連しますが、約半分しか登録されていないと推計されるために、狂犬病予防接種率が計算では2倍ほども高くなっています。
しかし、チップによる登録が進み、各地で正確な数値が得られることで、危機意識も高まり、防疫体制も組めることにつながります。

ないことを願っていますが、万が一海外から狂犬病が入ってきたときの一般の反応(ペットを飼っている人も飼っていない人も)は、今回、鳥インフルエンザが入ってきたときのパニックとは比較にならないのではないでしょうか。
今回、風評により、全然、地理的に関係のない感染する可能性のない場所で、チャボや孔雀(くじゃく)や小鳥が捨てられてしまいました。
狂犬病予防法で感染対象動物に指定されているのはイヌ、ネコ、キツネ、アライグマ、スカンクです。それ以外にも多くの哺乳動物に感染します。

でも、専門家の話では、犬で狂犬病予防接種率が70~80%を維持できれば、人への被害や他の動物への感染を心配しなくともよいとされています。

正確な疫学調査ができるために、まずは飼い主さんが自ら進んで登録して下さることが必要なのです。

しかし、残念なことにチップを置いている動物病院は少なく、まだ制度として「チップで登録」ということにはなっていないのが現状です。

投稿者 Yuki : 02:33 AM | コメント (0)

April 29, 2004

新しく子犬を飼ったら、登録を受けましょう。

中国遺跡巡りさん、お知らせ下さり、有難うございます。
中国遺跡巡り: 狂犬病に気をつけよう!!

以前からペットポータルで申し上げてきたことが、民間の調査会社の目に止まり、厚生労働省研究班で取り上げていただけました。
狂犬病予防接種率5割切る ペット人気も危機感薄く - asahi.com : サイエンス
(新聞記事のURLは変更されたり、削除されたりすることがあります。)

平成14年度の狂犬病ワクチン接種率は76.1%とされており、また70-80%を維持していると発表されています。
狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数と予防注射頭数等について

しかし、狂犬病ワクチン接種頭数/登録頭数の単純な割り算に、落とし穴が潜んでいるのです。


厚生労働省では、平成14年度の登録頭数は6,084,731頭としていますが、ペットフード工業会では犬は952万3千頭(平成15年は1,113万7千頭)も飼育されているとしており、これで計算すると、予防率は49.2%となり、5割を切ってしまいます。
平成15年度も接種頭数が横ばいで同じであったと仮定すると42.0%となって、4割近くになってしまうのです。

ここで、すべきことは2点あります。

1. 狂犬病予防接種頭数を増やすこと
2. 登録頭数を増やすこと

特に正確な予防率を調べるには、登録頭数を増やすことが絶対重要です。
昔は毎年登録が必要でしたが、今では一生に1回、登録するだけでよくなっています。

新しく犬を飼ったら、登録してあげましょう。
登録料として3,000円が必要ですが、一生に1回で良いのです。

マイクロチップをうめこめば、迷子になったときにも返って来る(帰ってくる)可能性がグンと高まります。

日程など詳しくは、お近くの市役所や役場、動物病院でお尋ね下さいますようお願いします。

投稿者 Yuki : 10:59 AM | コメント (0)

April 23, 2004

獣医師による動物用医薬品の副作用報告、始まっています。

今年4月1日から、獣医師による副作用報告が義務づけられています。

(と書きますと、「今まで報告していないのか」と誤解をされる人がおられると困るので、説明しますが、これまでも報告されています。動物用医薬品を管轄している農林水産省から選抜された「モニター獣医師」が報告するほか、獣医師が「これは動物の個体差に起因するものではなくて、薬の可能性が否定できない」と判断された場合に報告されておりました。また、メーカー(製造業者)に対して獣医師から副作用報告があった場合、メーカーからも報告されておりました。 しかし、今回、法改正によりすべての獣医師に義務化されたものです。 これまでのデータは、農林水産省動物医薬品検査所動物用医薬品副作用情報からご覧いただけます。)

報告された情報は、医薬品及び医療用具の一層の安全性確保を図るために活用されることになっています。

これは、医師・歯科医師・薬剤師・その他の医薬関係者も同様です。

薬事法第77条の4の2(副作用等の報告)
1.(略)
2.薬局開設者、病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者又は医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、医薬品又は医療用具について、当該品目の副作用その他の事由によるものと疑われる疾病、障害若しくは死亡の発生又は当該品目の使用によるものと疑われる感染症の発生に関する事情を知った場合において、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため必要があると認められるときは、その旨を厚生労働大臣(農林水産大臣)に報告しなければならない。

動物用医薬品等副作用報告システムの概要
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アクロバットリーダーをお持ちでない場合は、あらかじめダウンロードして閲覧下さい。

報告すべき情報

次の場合(症例)であって、かつ、明らかに使用した医薬品等との因果関係がないもの以外は報告して下さい。
1.死亡
2.添付文書から予測できない以下の事項
  ア.障害※(通常の活動に支障を来たす程度の機能不全の発現をいう。)
  イ.死亡又は障害につながるおそれのある症例
  ウ.治療のために飼育動物診療施設への入院が必要とされる症例
  エ.アからウまでに掲げる症例に準じて重篤である症例
3.後世代における先天性の疾病又はこれにつながるおそれのある症例の発生
4.感染症又はこれにつながるおそれのある症例の発生
5.副作用の発生数、発生頻度、発生条件等の傾向が、添付文書から予測できるものから著しく変化したおそれがある場合
6.医療用具の不具合発生のうち、(1)から(4)に掲げる症例等の発生のおそれがあるもの

※:「障害」とは、食餌、排尿・排便、歩行などに支障を来し、かつ、回復しない又は容易に回復しないものを指します。畜水産動物の場合には、さらに、育成率や産卵率の低下等により、廃用につながるものも含みます。

【副作用報告義務の対象となる医薬品・医療用具】
(1) 動物用として承認された医薬品及び医療用具
(2) 動物に使用した人用の医薬品及び医療用具
(3) その他、動物に使用した未承認の医薬品及び医療用具(個人輸入したものを含む。)
(4) なお、動物用医薬部外品については、報告の義務はありませんが、危害発生または拡大防止の観点から、重要なものについては報告をお願いします。

報告様式等の入手方法
1.インターネット: (社)日本獣医師会のホームページ( 社団法人 日本獣医師会 )から「副作用報告システム」にアクセスします。
2.家畜保健衛生所: 都道府県の家畜保健衛生所に報告用紙(様式)を置いています。
3.日本獣医師会雑誌: 平成16年3月号(第57巻第3号)に報告用紙(様式)を掲載しています。

報告方法
1.インターネット: 「副作用報告システム」にログイン後、獣医師副作用登録(新規登録)画面に必要事項を書き込んで農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室に送信します。
2.ファックス:  農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室あて
         FAX: 03-3502-8275
3.郵 送  :  農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室あて
         〒100-8950 東京都千代田区霞ヶ関1-2-1

報告期限

 特に報告期限は設けていませんが、保健衛生上の危害発生又は拡大防止の観点から、報告の必要性を認めた場合は、できるだけ速やかに報告して下さい。

<<関連情報>>
農林水産大臣に報告された副作用は、(1)因果関係が否定されるもの、(2)よく知られた軽微な副作用であるものを除いて、農林水産省動物医薬品検査所ホームページで公開され、どなたでもご覧になることができます。
NVAL HOMEPAGE

投稿者 Yuki : 12:43 AM | コメント (0)

March 24, 2004

狂犬病ワクチン接種率の向上が命題です

当サイトにリンクしてくださっている「あるトリマーのBLOG」さんの次のようなエントリーがありましたので、トラックバックをさせてもらいますね。

■あるトリマーのBLOG■: 狂犬病対策

仰る通り、遅い対応なんですが、まだ日本に侵入する前で良かったな、間に合ったなと思っている獣医師は多いと思います。

それで、本当の問題は、狂犬病ワクチンの接種率なんです。
狂犬病ワクチンって何%ぐらい、ワンちゃんに接種されていると思いますか?

厚生労働省は78.2%だとしています(平成13年度)。
これは、狂犬病ワクチン接種頭数465万頭、登録頭数が594万頭という数字を使っての割り算なんです。

狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数と予防注射頭数等について

でも、そこには疑問が生じます。
ペットフード市場の90%以上が会員会社でカバーされるというペットフード工業会の調査では、2003年の犬の飼育頭数は1113万頭という調査結果を出しています。

ペットフード工業会

これで狂犬病ワクチン接種率を計算すると、41.7%となり、半分を割ってしまいます。

狂犬病が日本に侵入した際に、飼い犬が十分な免疫をもち感染が広がらない目安になる接種率は、「50%」とされています。

ですから、この春の「狂犬病予防接種」は大事です。
ワンちゃんを飼っている皆さんは、ぜひ予防接種を自分のワンちゃんにしてあげてください。
本当にお願いします。

今回の鳥インフルエンザ騒動では、ペットとして飼っているチャボや鶏やハトや、クジャクまでも捨ててしまうことが起きてしまいました。
本当は捨てなくても問題はなかったと私は考えています。
でも、予防されていないから、不安だから、近所から言われるから、という理由で捨てられてしまったんだろうと思います。

それであれば、ワンちゃんを、そして飼い主さん自身を守るために、必ずワンちゃんに狂犬病ワクチンを注射して、狂犬病予防をしてあげて下さい。

それが自分の不安を除き、周りの不安を除き、大切なペットを守る積極的な防衛策なのです。

投稿者 Yuki : 11:15 PM | コメント (0)

March 23, 2004

狂犬病発生国から子犬の輸入を自粛

ペットポータルでは、狂犬病の日本での再発を危惧し、これまで様々な啓発記事を掲載してきています。

先程、お知らせしたNHKニュースで、「狂犬病発生国から子犬の輸入自粛を」という記事がありましたので、調べてみました。

残念ながら、[VIDEO]はありません。

農林水産省ホームページでは、プレスリリースを出しています。

幼齢犬の輸入自粛要請について
ワクチンが効きにくい生後4か月未満の子犬について、発生国から輸入しないよう23日付で業界団体に要請した、とのことです。

(参考)
昨年は約17,000頭が輸入されており、アメリカやタイなど狂犬病発生国から輸入した生後4か月未満の犬は770頭だったということです。

日曜日のテレビで、芸能人がドイツから犬を空輸したと話していましたが、ドイツも狂犬病発生国です。
検疫は十分だったのでしょうか。

駆け込みの輸入や密輸を行うことは絶対にやめて下さい。
もし日本に狂犬病が入ってきたら、そのパニックは鳥インフルエンザやBSEの比ではありません。
狂犬病の犬に咬まれて、かかって発症したら100%死亡します。治療法はありません。
咬まれるリスクは輸入業者の方にもあります。

一時の損得ではなく、社会的に正しいかどうか、自分の良心に恥じないか、を判断材料にして下さい。

南九州で、未承認の豚コレラワクチンを接種していたことも同じです。
牛肉の偽装もしかり、鳥インフルエンザ感染の危険性を感じながら出荷したこともしかりです。

一時の損得に走って行ったことは、結局、いくら後悔しても足りないほどの時間をかけて償わなければならないことになっていると思いませんか。


投稿者 Yuki : 11:58 PM | コメント (0)

February 15, 2004

「院長のひとりごと」から

鳥取県倉吉市にある山根動物病院と米子市にある米子動物医療センターの両病院の総院長 高島一昭先生は、朝日新聞に毎週「獣医師のひとりごと」というコラムを載せておられます。
その原文が、ご自身の病院のホームページに「院長のひとりごと」として掲載されており、私も毎週楽しみにしております。

山根動物病院*米子動物医療センター

現在、今年2月12日までのコラムが掲載されておりますが、今回は1月23日付のコラム「感染症」をご紹介いたします。

高島先生は、ここ数年、猛威をふるう様々な感染症を、「動物」と「高速輸送」という2つのキーポイントでくくられています。
この「高速輸送」という言葉が、非常に現在の状況を端的に表しているように思います。
「人、動物、物資」の「高速輸送」により、今まで地方病に過ぎなかった感染症が、全世界に広がっていく・・・。
幸い、日本にはまだ入ってきていませんが、米国で流行しているウェストナイル熱という伝染病が日本にもたらされる経路としては、渡り鳥も可能性がありますが、米国-日本の直行便のキャビンまたは荷室に潜む蚊による可能性も指摘されています。まさに、人と物資が運ぶ危険性もあるのです。

  SARSに関してもハクビシンなどが輸入禁止になっています
  が、実のところどの動物が感染源であるのか分かっていま
  せん。
   そして、私が最も恐れているのは、狂犬病です。これが国
  内に発生すれば、パニックが起こります。人を含めた哺乳動
  物に感染し、発症すれば100%の死亡率です。鳥取県では
  治療できる施設がないことも知られていません。せめて、自
  分の犬には狂犬病のワクチンをしてください。 家族である
  コンパニオンアニマルを守るのは、あなた自身です。

おっしゃる通りだと思います。
ここで言われている、「鳥取県で治療できる施設がない」というのは、動物の話ではなく、人の話です。

もうすぐ、また狂犬病予防接種の時期が来ます。

獣医療関係者の中にも、狂犬病予防は必要ない、などと平気で言われる人がおられるのは、危機意識のない非常に危険な状況だと思います。

本当に、毎年の狂犬病予防を獣医師も飼い主も決して忘れてはなりません。

投稿者 Yuki : 11:24 PM | コメント (3)

November 30, 2003

英国のペットパスポート

BBCによれば、英国ではペットを連れて海外旅行する際のパスポートが本格化しつつあります。

ペットパスポートを持てば、たいていのヨーロッパ各国や、狂犬病のない国々(日本も含まれます)から英国に再入国する際に、180日間の動物検疫を受けなくても済むそうです。

snowdog.jpg

これは英国のDEFRA(The Department for Environment, Food and Rural Affairs: 環境食糧農林省)が進めているPETS(The Pet Travel Scheme:ペット旅行計画)の一貫で、ペットパスポートをもらうには、所定の要件を満たす必要があります。

・ マイクロチップが埋め込まれて、個体識別が可能なこと
・ 狂犬病ワクチンが接種されていること
・ 血液検査を受けていること(狂犬病に対する抗体価を測定します)
・ 英国が定めたPETS証明書が発行されていること
・ 寄生虫の一種である条虫(エキノコッカス)とダニの駆除を行っており、それを公的に証明できること
・ 居住場所についての宣言書に署名すること(旅行前6ヶ月間は、指定国以外へペットを連れていっていないこと)

これら6点が要件となっています。
英国からの出国も、英国への入国もPETSに申告しているルートで旅行しなくてはなりません。
日本-英国間は空路のみで、空港は成田、関西、名古屋の3空港のみが認められています(Defraのサイトでは、Kansaiとつづるべきところを、Kansiaとスペルミスになっています (~~;)。

英国での到着時にスタッフが全ての要件をチェックし、もしそのチェックを通過できなければ、ペットは動物検疫を受けるか、英国への入国を認められず、出発地に送還されるとのことです。

また旅行中、ペットができるだけ快適に過ごせるように次の注意が書かれています:
・ 旅行に耐えられるくらい、ペットが健康であることを確認すること
・ 旅行直前にペットに与える食事は軽くすること
・ 輸送ケージに入れる前に、ペットのトイレは済ませておくこと
・ 旅行の前に、輸送ケージに入ることをペットに慣れさせることは良案である
・ 輸送ケージは通気性がよく、動き回るのに十分な大きさがあり、安全で(足をはさまないで!)、フードも水も十分あり、簡単に差し替えられるものであること
・ 家族のにおいのついたクッションや毛布をケージに入れてあげれば、ペットもより落ち着くことでしょう
・ その他にも良いアイデアがあれば、ぜひ試してください

BBC Holiday - Travel tools - Pet passports

日本への入国の際には、少し状況が異なります。
外国から輸入される犬猫は、狂犬病とレプトスピラ症(犬だけ)についての検疫のため一定期間の係留検査を受けなければなりません。

係留検査は、原則として動物検疫所の係留施設で実施します。係留期間については、輸出国政府機関が発行する狂犬病予防注射証明書の有無や健康証明書の内容によって14~180日の間で設定されます(日本に到着した日と解放する日は除く)。狂犬病予防注射証明書がない場合には、最長期間(180日間)の係留期間となりますのでご注意ください。 ただし、狂犬病の発生のない指定地域から連れてくるときは、必要事項が記載された輸出国政府機関発行の健康証明書があれば、12時間以内の係留期間となります。
(引用:動物検疫所

日本でも、狂犬病のない地域からの輸入で所定の検査申請書や証明書に不備がなければ12時間以内の係留で済むのは朗報です。
しかし、海外(狂犬病発生地域)から入ってくる猫については、海外での狂犬病の予防注射を要件とするのに、日本では猫を対象とした狂犬病ワクチンが認められていないのは、なぜなんだろうと思ってしまいます。皆さんは、海外では猫にも狂犬病ワクチンが接種されていることをご存知でしたか?

また、もう一点、日本では現在数社の犬猫用マイクロチップ(商品名は、ライフチップなど)が農林水産省で認められています。
現在は迷子防止を主目的としていますが、飼い主さんへの連絡も理解も不十分で、まだ普及率は非常に低いです。

それを活用する側も同じ状況で、各都道府県や市町村の動物愛護センター・保健所などでも、マイクロチップのコード番号を読み取るためのリーダーを装備していないところが多数あるようです。
それでは、飼い主がせっかくマイクロチップを埋め込んでいても、読み取られることのないまま、飼い主の手元に戻れないペットがいることが残念ながら予想されます。

まず、都道府県・市町村レベルでのリーダーの普及率を向上させて、受け入れ側の態勢を整えることが先だろうと思います。そうして、準備ができれば、飼い主さんも真剣に考えるようになり、普及する素地ができるのではないでしょうか。そして、それが日本版のペットパスポートにも使えるようになれば、飼い主、ペット、獣医師そして行政も皆、便利になれますよね。

投稿者 Yuki : 12:10 AM | コメント (0)

November 27, 2003

中国で、狂犬病による死亡者が急増

BBC News(11月25日付)によれば、中国で狂犬病による死者が急増しています。中国の報道によれば、1-9月の9ヶ月間で、約1,300名(1,297名)が死亡しており、去年の同時期の62%増とのことです。

これは、今年はじめ中国本土でパニックを起こしたSARSによる死者の349名のほぼ4倍に当たるとのことです。

China Daily 誌に中国当局が語ったところによると、この原因としては、ワクチンの品質が良くないことと、狂犬病に対する知識が一般に不足している(狂犬病の予防注射接種率が低い)ことが考えられるとのことです。
また、中国でペットを飼うことの流行と共に、捨て犬や迷子の犬が増えていることが原因だと新聞では報じています。

中国での昨年1年間での狂犬病の死者は1,003名であり、すでに今年はこの数字を大きく上回っています。

狂犬病は、さまざまな動物のだ液から感染し、発熱、痙攣、発作、幻覚、昏睡などの症状を呈して、発症すると最後は死に至ります。

人がもし狂犬病に感染した動物に咬まれた場合は、すぐにワクチン接種をすれば有効ですが、一度発症すれば治療は不可能です。

BBC NEWS | Asia-Pacific | China reports sharp rise in rabies
原文(英文)は上へ↑

日本にいる私たちができる最善の防衛策は、飼い犬に定期的に狂犬病ワクチンを接種すること、捨てざるを得ない子犬をつくらないために不妊去勢手術を施すことだとペットポータルは考えます。
但し、ワクチンや手術の安全性は100%ではなく、副作用や事故により死亡する場合も、残念ながら報告されています。

投稿者 Yuki : 12:58 PM | コメント (0)

October 09, 2003

4.狂犬病、日本再発のシナリオ

昭和32年(1957年)以降、45年間続いている狂犬病発生のない現状から、再発を想定することは心地よいものではありませんが、グローバル化・ボーダーレス化という世界情勢の中で、日本が今後も清浄国でいられる保障もありません。オーストラリア、イギリス、台湾、ハワイ等、島国だからこそ狂犬病が根絶された地域があります。しかし、イギリスでは1996年に狂犬病のコウモリが発見され、またフランス-イギリス間を結ぶユーロトンネルの開通でヨーロッパ本土からの狂犬病の危険性が指摘されています。そのため、日本でも、この現状を長く維持するために再発を想定して、その対応策を検討しておかなければなりません。

 日本で狂犬病の再発というシナリオを書くとすると、国内で突然発生が見られるというよりも、海外で狂犬病に罹患した動物が日本に持ち込まれるケースを想定することが普通かと考えます。

 世界保健機構(WHO)の調査では、日本の近隣諸国で、ロシア、中華人民共和国で発生がありますし、韓国でも1999年に男性が狂犬病で死亡しています。日露間で漁業交流が盛んな昨今、船員達がロシアから連れてきた犬を日本の港湾付近で散歩させていることがあるとのことですが、30日間以上の十分な検疫はなされているのでしょうか。 ロシア沿海州での狂犬病は、1999年に13件(ネズミ1例)、2000年には8件(犬 7件 猫 1件)の発生があるとのことです。 

 韓国では高麗リスで狂犬病感染の報告があるとのことで、長野県では高麗リスがすでに生息しているとの報告があります。また、過去にキツネやタヌキが海を越えて漂着した実例から、狂犬病に罹患した動物が漂着する危険性を唱える学者もおられます。

 都市部のタヌキや、昔ペットとして飼われながら野生化した野犬、野良猫やアライグマなどに、海外から侵入した感染動物から、狂犬病ウイルスが伝播されて、感染サイクルが形成され、ついには日本に定着するというパターンも考えられます。 そのような最悪の状況も視野に入れて対策を練ることは容易なことではありませんが、BSEや口蹄疫が日本に侵入したように、狂犬病の侵入は絶対ないとは言い切れないのですから、空港での検疫はもちろんのこと、海外からの船舶が入港する漁港での検疫体制の強化も検討すべきかもしれません。

 また、われわれ市民も、狂犬病が疑われるような野生動物(人間を恐がらない、舌を口外に出してよだれを流している、異物(石、土、木など)を食べる、下半身が麻痺している、音や光に過敏に反応するなど)をみかけたときは、直ちに最寄りの動物病院か、保健所に連絡することが望まれます。 決して、自分一人で捕獲しようとすべきではありません。 連絡を受けた獣医師も保健所に直ちに届出することになっており、保健所から獣医師に指示がなされる他、都道府県への連絡や確定診断の依頼がなされることとされています。

◆ 人での狂犬病の発生阻止

 狂犬病に感染した動物の入国を検疫で阻止できた、あるいは水際で捕獲できた場合は良いとして、動物に人間が咬まれた場合も想定して対策を考える必要があります。

具体的には、(1)動物での狂犬病の確定診断が実施可能な検査機関のリストアップ、(2)暴露前免疫あるいは暴露後ワクチン接種を行うためのワクチン備蓄と緊急輸入の手配、(3)人抗狂犬病免疫グロブリンの国内製造の検討、などが考えられます。

(1)として、単に健康な動物に咬まれたのか、狂犬病に罹患した動物に咬まれたのか、の間には大きな差があります。 現在、日本で動物の狂犬病の確定診断が可能な研究機関は、国立感染症研究所獣医科学部のみで、それ以外にも早期に確定診断が可能な検査機関をリストアップする必要があります。 例えば、BSE発生の際には、動物衛生試験場と帯広畜産大学獣医学科の存在がわれわれ国民には非常に頼もしく思えたものです。

国立感染症研究所http://www.nih.go.jp/niid/
〒162-8640 東京都新宿区戸山1-23-1
電話 03-5285-1111

(2)として、暴露前免疫あるいは暴露後ワクチン接種を行うためのワクチン備蓄ですが、日本では1社のみが製造しており、製造量も年間2万ドーズ(ドーズとは1回当たりの注射量をいう、つまり2万回の注射分しかないということ)です。 以前に述べた通り、狂犬病は発病した場合の死亡率はほぼ100%で、感染した後(暴露後)のワクチン接種により発病予防することが重要な対策となります。暴露後のワクチン接種は6回接種が基本ですから、これでは約3,500人分にしかなりません。 また、暴露前(感染前)の予防としては、0日、4週後、6~12ヶ月後の3回接種が基本であるため、2万ドーズを全て暴露前予防に使用したとしても6,700人分であり、全く足りません。 実際に狂犬病が日本で再発した際には、人から人への感染はないとされているとはいえ、医療機関の医師、獣医師、看護師などが動物に咬まれた人や動物に接する前に暴露前免疫を行うでしょうから、医療関係者のみで消費してしまって、肝腎の患者にはワクチンが行き渡らないという悲劇が生じるかもしれません。そのため、平時では必要はなくても、緊急輸入の方法も検討しておくべきと思われます。

人用ワクチンの消費の変動

=========================
 1996年  20,953本
 1997年  16,437本
 1998年  16,253本
 1999年  24,721本
 2000年  27,286本
=========================

(3)としてヒト抗狂犬病免疫グロブリンの国内製造の検討を挙げました。世界保険機関(WHO)では、狂犬病暴露後発病予防は、前述(2)の狂犬病ワクチン接種と、ヒト抗狂犬病免疫グロブリン(HRIG)またはウマ抗狂犬病免疫グロブリン(ERIG)の接種によって行うことを勧告しています。抗狂犬病免疫グロブリンとは、狂犬病ウイルスに対する抗体のことであり、ヒトとウマはそれぞれ人由来(つまり、人の体内にできた抗体を血液からつくった血液製剤)であるか、ウマ由来であるかの違いです。 薬害エイズで問題になったように、人由来では、未知のウイルスが混入している危険性が否定できません。また、ウマ由来のものは、人間とは異なる動物の異種タンパクですから、血清病が起こる危険性があります。 そのため、大腸菌にインシュリンを作らせたり、カイコの幼虫にインターフェロンを作らせたりするように、遺伝子操作を用いて微生物に純粋な抗狂犬病免疫グロブリンを作らせる技術を開発すべきであると考えます。 但し、平時には需要がほとんど少ないと考えられるため、狂犬病汚染国への輸出を視野に入れて生産するか、国が一定量を買い取り備蓄することを条件に製造することとして、開発に着手しなければならないでしょう。

◆お断り ~終わりにかえて~

 いずれにせよ、狂犬病の日本での再発の恐れはゼロではありません。 そのときにいたずらにパニックに陥ることなく、対応するためには平時からの準備が必要であるとペットポータルでは考えます。

既に対策として練られていることをこちらのみが知らず、関係者の皆様には不躾な表現があったかもしれませんことを予めお詫びいたします。

本特集についてご意見がありましたらペットポータルまでメールを下さい。不勉強な部分もあり、全てにお答えできないかもしれませんが、皆様と一緒に検討できれば、と願っております。

投稿者 Yuki : 12:06 AM | コメント (0)

October 08, 2003

3.狂犬病予防のかかえる課題

「動物における対策・予防」として、「輸入検疫」および「狂犬病予防注射」を挙げました。しかし、この狂犬病予防注射にも、現状では以下の3つの課題があるとペットポータルでは考えます。

1.適用される動物についての一般的な意識

 まず、1.の適用動物ですが、狂犬病予防法ではイヌだけを対象としているものではありません。狂犬病予防法には適用範囲として以下のように記載されています。

狂犬病予防法(適用範囲)

第2条 この法律は、次に掲げる動物の狂犬病に限りこれを適用する。(中略)
   1 犬
 2 猫その他の動物(牛、馬、めん羊、山羊、豚、鶏及びあひる(次項において「牛等」という。)を除く。)であって、狂犬病を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定めるもの

 2 犬及び牛等以外の動物について狂犬病が発生して公衆衛生に重大な影響があると認められるときは、政令で、動物の種類、期間及び地域を指定してこの法律の一部(前項第2号に掲げる動物の狂犬病については、同項ただし書に規定する規定を除く。次項において同じ。)を準用することができる。この場合において、その期間は、1年を超えることができない。
 3 (略)

また、第2条第2項の動物については政令で定めるとあるように、狂犬病予防法施行令では、以下のように適用される動物を規定しています。

(法の規定の一部が適用される動物)
第1条 狂犬病予防法(以下「法」という。)第2条第1項第2号の政令で定める動物は、猫、あらいぐま、きつね及びスカンクとする。

 つまり、狂犬病予防については、平時には犬だけを対象として予防注射を行うけれども、狂犬病が万一発生した場合には、猫、あらいぐま、きつねおよびスカンクを対象とする、ことも可能であるということについて、今は広く理解が得られていない、ということです。

 広くというのは、獣医師はもちろんのこと、飼主や動物を飼っていない人々という意味です。マスメディアに携わる人々にも知っておいてもらう必要があると考えます。

 こういうことを平時から啓発する努力を怠っていると、いざ、ロシアのようにキツネから人が感染した場合に、キツネは全て害獣だ、という論調が生じたり、仮にネコから感染が生じた場合に、飼い猫が捨てられたり虐待を受けたりしてしまう不幸な事件が生じてしまう危険性があるということなのです。

 もし狂犬病が発生しても、狂犬病予防ワクチンを注射すれば、犬と同様、ネコも守られるのだということを啓発する必要があります。最近、ペットとして飼育頭数が増えているフェレットもここに含めておくことも検討すべきかもしれません。

◆2.承認されている狂犬病予防ワクチン

 2番目の問題点としては、現在、農林水産省で承認されている狂犬病予防ワクチンについてです。これはさらにいくつかの細かい問題点に分けられると思います。

(1)犬だけを対象動物としている点

 前項1の適用動物で述べたように、狂犬病はイヌだけでなく、ネコや他の動物にも発生する危険性があります。しかし、現在、日本で流通している狂犬病予防ワクチンは農林水産省の承認を受けて、国内メーカーが製造し、国家検定を受けているものですが、対象動物はイヌのみであり、ネコに注射することは想定されていません。そのため、もし飼主が、飼っているネコに狂犬病予防ワクチンを注射しようとしても、農林水産省でイヌ以外の動物用に承認された狂犬病予防ワクチンがなく、どのような副反応が生じるか見当がつきませんし、またイヌ以外の動物では効果があるかどうかも不明です。

 海外では、猫用に狂犬病予防ワクチンが販売されておりますが、日本では輸入が許可されていません。
もし、イヌ以外の動物で狂犬病の発生があった場合、海外から緊急輸入する必要が生じるかもしれません。しかし、そのような場合に海外のワクチンメーカーが増産に応じられるかどうかは不明であり、また(2)とも関連しますが、有効性と安全性の評価に時間がかかることも予想されます。

 そのため、まだ発生のない今の段階で、イヌ以外の動物に注射することができる狂犬病予防ワクチンの国産化あるいは輸入承認について、国で議論すべきとペットポータルでは考えます。
(2004年4月14日削除。狂犬病組織培養不活化ワクチンで承認されている対象動物がイヌとネコであることが判明したため。ご指摘有難うございました。)

 (2)(1)有効性と安全性

 現在、日本で製造されて流通している狂犬病予防ワクチンには、まれに副反応が生じる場合があります。軽度の発熱や嘔吐、食欲不振などであれば対症療法によって治癒しますが、副反応のなかでもアナフィラキシーショックが生じた場合、注射後数時間から24時間で死亡してしまう場合があります。

狂犬病予防ワクチンによる副反応の報告は、農林水産省動物医薬品検査所のホームページで検索することができます。(そこで「動物用医薬品副作用情報」を選択し、◎生物学的製剤毎(ワクチンのことを生物学的製剤とも呼びます)を選択するとフレーム画面が表れます。そこで、「医薬品の名称」の項で、狂犬病の最初の文字、「キ」をカタカナの一覧表から選択するとご覧になられるでしょう。)

 ここにはお示ししませんが、見ていただくとお分かりのように、狂犬病ワクチンの注射で2001年に、9頭の犬が亡くなっているとの報告があります。
 年間460万頭注射される内の9頭ですから、報告された事故率は0.0002%であり、メーカー側からは安全であると主張されるでしょうし、客観的にみれば是認される範囲であるかもしれません。

 しかし、飼主の方にすれば、健康な犬を動物病院または集合注射会場に連れて行って、狂犬病予防ワクチンの注射を受けて数時間以内に容態が急変して、死亡するなどということがあった場合の悲しみは、癌や心不全などで亡くす場合と比べて納得がいかない、と感じるのではないでしょうか。

 そのような死亡例が起こる確率は0.0002%と非常に低いかもしれませんが、今後狂犬病ワクチン注射の接種率をより高めるための啓発をしていく上で、安全性は非常に重要なことであると思われます。

 有効性についてですが、日本では毎年の注射が義務づけられています。これはワクチン注射による免疫の持続が1年間で切れてしまうことを意味するのか、それとも1年以上の長期間、免疫持続性について調べられていないためか、分かりません。しかし、海外では既に3年に1回注射すればよい狂犬病予防ワクチンも販売されていることから、1年以上、効果が持続する狂犬病予防ワクチンが日本でも利用できるようになれば、より多くのイヌに狂犬病予防ワクチンが注射されるようになると考えられます。

(3)(2)国産ワクチン

(3)(2)として現在、日本で流通している狂犬病ワクチンは国産品のみであることがあげられます。まず長所・短所について考えてみたいと思います。
 長所としては、ワクチン株の性状やワクチンの製法が明らかであり、生産も計画的に行えるため、安定供給が可能であるということ、国家検定に必要な情報も入手が容易で、製品の品質が一定していると考えられることなどが挙げられます。

 しかし、一方で前述の(1)(2)にも関連がありますが、短所も考えられます。 狂犬病流行国では、流行があるがゆえに、様々な技術導入がなされて、3年という長期間、免疫が持続する狂犬病予防ワクチンや、イヌ以外の動物への狂犬病予防ワクチンが既に製造され、実際に使用されています。
 また、日本では、狂犬病予防ワクチンは、単味ワクチン(病原ウイルスが1種類だけ入っているワクチン)しか認可されていませんが、海外では、狂犬病ウイルスだけではなくパルボウイルスやジステンパーウイルス、パラインフルエンザウイルスなども1度に注射できる7種混合などの多価ワクチンも利用可能であり、飼主にとっては非常に便利だといわれています。

 フランスの動物用医薬品会社では、野犬に狂犬病ウイルスに対して免疫をつけさせるために、注射ではなく食べる狂犬病予防ワクチンも製造しているとのことです。これらを森林や農村の周辺に撒(ま)くことによって、それを食べた野犬やキツネなどに狂犬病の免疫をつけて、狂犬病を撲滅するプログラムを立てて、効果を上げている国もあると聞きます。

 これだけグローバル化が進み、島国という地理的な利点だけでは日本の国境を守れなくなっている現在、日本としても接種率を今まで以上に向上させることが急務であり、また他の動物に対しても何らかの予防策を検討することが必要だと思われます。

 しかし、日本では45年間、狂犬病の発生がないことから、逆に新しい狂犬病ワクチン株の導入や作出、狂犬病ウイルスと他のワクチンウイルスとの多価化も進んでいないように思われます。

 飼主の方々にワクチン接種の重要性を訴えて、接種を勧めることも今後も引き続き、推進させるべきことと考えます。

 そしてそれと同時に、飼主の方々が進んで飼犬に接種したくなるような利便性のある、すなわち免疫持続期間が長い、他のウイルス性疾患も同時に予防できる、などの特徴を持つ新しい狂犬病予防ワクチンが日本でも利用できるようにするという議論がもっとされても良いのではないでしょうか。

◆3.登録頭数と実際の接種率

 3に挙げた「登録頭数と実際の接種率」に関する課題とは、こういうことです。まず下記の表をご覧下さい。 これは厚生労働省の統計情報から得たものを一部改変したものです。ご存知のように、現在、犬の登録は一生に一度だけ行えばよく、平成12年度末の登録頭数は約580万頭です。狂犬病予防注射を受けた頭数は約460万頭で、約80%の犬が狂犬病の予防注射を受けたとされています。

 約80%という数字をご覧になって、皆様はどのようにお考えでしょうか。充分、高いと思われるでしょうか。

 しかし、実際には飼育されている犬がすべて登録されているわけではありません。1996年に厚生省国立公衆衛生院で調査して推計された登録率は61.1%とのことです。ここから、算出すると実際には1.63倍の約946万頭が飼育されていると推計できます。

 一方、ペットフード工業会による調べによると、平成12年度の犬猫飼育頭数は犬が全国で1,005万4千頭、猫が771万8千頭であるとのことです。これは、厚生労働省の登録頭数の1.74倍に当たります。

 そこから考えると、460万頭という狂犬病予防注射頭数による予防率は、国立公衆衛生院の推計飼育頭数から計算すると48.7%であり、ペットフード工業会の数値をもとにすれば45.8%と、どちらも50%を割ってしまいます。

 この50%未満という注射率にせよ、約80%という注射率にせよ、これが狂犬病が日本に侵入してきたときに充分であるかどうかは、疫学的な観点、地域的な観点から多面的に検討する必要があります。但し、厚生労働省が発表している80%という数値だけで充分高い予防率であるという考えを持つことは危険であると思います。

 また都道府県別にも検討する必要があるでしょう。

 もっとも高いのは長野県の96.7%ですが、80~90%以上の注射率を誇るのは東北地方に多い傾向があります。逆に関西以西は総じて注射率が低く、特に九州も低い傾向があるのが意外でした。前述の通り、実際の飼育頭数は、これよりも数十%(あるいは70%も)多いわけですから、接種率の低い都道府県では注射率をさらに上げる努力を行わなければ、逆に、狂犬病の発生があった場合の混乱が他府県よりも大きくなる危険性がないともいえないことが危惧されます。

 狂犬病の再発、それはあってはならないことですし、杞憂に終わることを望んでいます。しかし、前回も述べた通り、日本の状況は世界的にも極めて珍しい状況であり、全世界では多くの国で狂犬病が流行し、年間4~5万人もの人が狂犬病で亡くなっています。

 そして、それは日本と地理的に近隣の国々や経済的に関係の深い国々で起こっている現実であることを忘れてはなりません。

投稿者 Yuki : 11:50 PM | コメント (9)

2.狂犬病とは

◎対象動物 狂犬病、狂った犬の病気、と単純に考えていませんか? これは、野犬を含むイヌだけの病気ではありません。 イヌ、ネコ、フェレットなどのペットなどの他、キツネ、タヌキ、コウモリ、アライグマ、マングース、スカンクなどの野生動物もかかり、他の動物に伝染させる危険性があります。 それらの動物から、人がかまれた場合、人がかかる危険性があります。人から人へ感染することはないとされています。

地域別狂犬病危険動物種

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地域      主な狂犬病危険動物種
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アジア      イヌ、ネコ
北米       コウモリ、アライグマ、スカンク、キツネ
ヨーロッパ   キツネ
中南米     イヌ、コウモリ、コヨーテ、ネコ
アフリカ     イヌ、マングース、ジャッカル、ネコ
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◎病原体:
ラブドウイルス科の狂犬病ウイルス(rabiesvirus 【狂犬病は英語で「レイビーズ」と発音します】)で、ウイルス粒子は特長ある砲弾型です。
◎感染経路
通常、狂犬病に罹患した動物による咬傷部位(かみ傷)から、唾液に含まれる狂犬病ウイルスが侵入します。人間は感染の最終動物です。実験室内感染では、経気道感染もありうるとされています。
◎潜伏期間
 ・1~2ヶ月(別の報告では2週間~1、2年であり、咬傷部位によって異なる)。
◎臨床症状 【狂犬病は一度発症すれば、死亡率はほぼ100%です。ただし、暴露後(動物に咬まれてウイルスが体内に侵入した後)のワクチン接種により死亡する人は極端に少ないと思われます。】

1.ヒトの狂犬病

前駆期: 2~10日間
発熱、頭痛、倦怠感、筋痛、疲労感、食欲不振、悪心(吐き気)、嘔吐、咽頭痛、空咳(からぜき)等のかぜに似た症状ではじまります。また、咬傷部位の疼痛や掻痒感(かゆみ)、などの知覚異常がみられます

急性期:2~7日間
不安感、恐水発作(水を恐がる)、興奮、精神錯乱、麻痺、筋痙攣などの神経症状があらわれます。ただし、恐水症状を示さない例もしばしばあります。

昏睡期:最終的には、呼吸障害により死亡します。

麻痺型:急性期の神経症状がみられずに麻痺が全身にひろがる例であり、特にコウモリに咬まれて発病したケースに多いとされています。

2.イヌの狂犬病

前駆期:一般に2~3日の経過
   ・性格の変化*と行動の異常(挙動不審、気まぐれ、過敏)
・恐怖心による興奮と飼主に対する反抗、遠吠え
・異物を好んで刺激に応じて咬む
・咬傷部位の掻痒
・瞳孔散大
・性欲の亢進 など

興奮期:一般に1~7日の経過 (この期間が短く、すぐ麻痺期に移行する場合もある)
・落ち着きがなく、興奮状態となる
・異嗜(小枝、わら、石、土などを食べる傾向の多発)
・光や音の突然刺激に対する過敏な反応
・喉頭筋の麻痺による吠え声の変化(嗄声、長吠哀哭)
・顔貌の険悪化
・初回の痙攣発作中に死ななければ、麻痺期に入る

麻痺期:一般に2~3日の経過 (イヌではこの症状が最も多い)
・全身の麻痺症状による歩行不能(特に後躯麻痺)
・咀嚼筋の麻痺による下顎下垂と嚥下困難
・舌を口外に垂らしながら、流涎
・むせるような発声音(しばしば、イヌの喉に物が詰まったとヒトが勘違いして、イヌに咬まれてしまう)
・昏睡状態になり死亡

  *:冒頭のロシアにおける狂犬病のキツネでは、通常、キツネは人を恐がるが、狂犬病に罹ると性格が変化し、人を恐がらなくなり、さらに行動が変化して狂暴化するため、人が咬まれる事故が増えると考えられる。

3.ネコの狂犬病

前駆期:一般に1日の経過
・性格の変化と行動の異常(正常な行動からの突然な変化。愛らしいネコが突然引っかいたり、咬んだりして、うつ状態となり暗い場所に隠れようとする)
・性欲の亢進(雄ネコではペニスの持続性勃起がみられる)
・瞳孔散大 など

興奮期:一般に2~7日の経過 (ネコではこの症状が最も多い)
・筋肉の緊張増加、筋肉の単収縮、全身の筋肉の振戦、筋肉衰弱、流涎、神経過敏、攻撃性の増加
・目に入るものを頻繁に咬む
・嚥下筋肉の麻痺により唾液がたまり流涎を起こす
・痙攣は徴候が見えてからほぼ5日目に顕著となり、後肢麻痺が急速に進行

麻痺期:一般に3~4日の経過
・飲食困難
・全身麻痺
・徴候開始から3~4日以内に昏睡して死亡

◎ヒトにおける治療・発症予防

・狂犬病は一旦発症すれば有効な治療法はありません。ただし、昭和32年以降狂犬病の発生がない日本では、イヌやネコに咬まれた場合、通常は被害者が狂犬病ワクチンを接種する必要はありません。咬傷の処置と、破傷風の感染を予防するために破傷風トキソイドあるいは破傷風免疫グロブリンの投与を行えばよいとされています。
 ・狂犬病の常在地で、狂犬病危険動物に咬まれた場合には、
  1)ただちに傷口を流水と石鹸で十分に洗浄します。
  2)70%エタノールまたはポピドンヨード液で消毒します。
  3)できるだけ早期にワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリン(抗体)を投与して、発症を阻止する必要があります(日本では、抗狂犬病ガンマグロブリンは入手困難)。 ワクチンは組織培養不活化狂犬病ワクチンのほうが副反応が弱いので良いとされています。
 WHO およびわが国では暴露後免疫(治療用としてのワクチン)は接種開始日を0として3、7、14、30日の5回接種が推奨されています。場合により、90日の6回接種します。

◎動物における対策・予防

 ・輸入検疫
 ・狂犬病予防接種
 ・狂犬病対応ガイドライン2001の徹底  「狂犬病対策研究会」編 「狂犬病対応ガイドライン2001」 (定価2,300円+税)は下記URLから発注できます。
                          株式会社インフラックスコム 

本特集についてご意見がありましたら、ペットポータル特集:狂犬病について、ペットポータルまでメールを下さい。不勉強な部分もあり、全てにお答えできないかもしれませんが、皆様と一緒に検討できれば、と願っております。

投稿者 Yuki : 11:18 PM | コメント (4)

1.狂犬病が日本で発生したら: はじめに

日本では、昭和32年以降国内での狂犬病の発生はなく、世界的にも珍しい国の一つですが、全世界では多くの国で狂犬病が流行し、年間4~5万人もの人が狂犬病で亡くなっています。

米国では、毎年数名が狂犬病で命を落とし、この3月30日にも米国カリフォルニア州の28歳男性が狂犬病と診断され、発症後の死亡は免れないとの報告があります(AP通信)。4月8日にはアリゾナ州のペットショップで、狂犬病に罹患した4ヶ月齢のオーストラリアシェパードが見つかっています(ProMed情報)。ロシアでも、狂犬病のキツネに今年25名が咬まれ、昨年は狂犬病のキツネに咬まれた22名の内、15名が死亡しました(BBC国際報道)。1999年には、韓国で51歳の男性が狂犬病のイヌにかまれて数ヶ月後に発症して死亡し、話題になったことをご記憶の方も多いと思います。

日本は島国であり、狂犬病予防接種が普及しているので大丈夫と、安易な考えからその危険性を認識していない人が非常に多いといわれています。昭和32年(1957年)以降、国内で発生がないということは、昭和32年生まれの大人の年齢は満45歳に当たるわけですから、自分自身が認識していない上、子供に狂犬病の恐さを教えられないのも無理のないことかもしれません。

ですが、海外では非常に問題視されていながら日本には入ってこないとされていたBSE(牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病)が2001年9月に日本で発生しました。これは、国の対応が後手に回ったためですが、その後のわれわれ国民の反応も異常とさえいえるものでした。1頭のBSE牛が確認されただけで、パニック状態ともいえる様々な社会現象が生じました。だから、ペットポータルは本気で心配します、「狂犬病がもし日本で再発したら・・・」と。 

ペットポータルのいうパニックとは、人で死者が多数出ることを想定してはいません。 なぜなら、もし日本で仮に狂犬病ウイルスに暴露しても(狂犬病に罹っている動物に咬まれて、体内にウイルスが侵入しても)、暴露後ワクチン接種が実施されるので人の死亡例は極めて少なくなるだろうと考えられるからです。

しかし、BSE発生後に行われている一連の巨額を講じた国の対策(食用にと殺される牛の全頭検査、検査実施前の牛肉の買取り、使用禁止となった肉骨粉の廃棄処分など)や、マスコミのヒステリー状態、日本国内での消費者の反応(牛肉の買い控え、焼肉屋の倒産、豚肉・魚肉へのシフトなど)を考えると、狂犬病が発生した後の経済的損失や社会的混乱などは容易に予想できるではありませんか。

数年前、BSE問題が発生したときに、ペットポータルではBSEの発生に過剰反応は禁物(牛肉編)」と訴えてきました。 狂犬病が再発する危険性はゼロではないわけですから、もし再発することが不幸にしてあったとしても、冷静に対処することが最も重要です。

そのために、狂犬病に対して正しい知識を持つことが、まず重要だと考え、今回特集としました。

投稿者 Yuki : 11:15 PM | コメント (0)