August 11, 2008

「医薬品のネット販売禁止は過度な規制」...か?

「医薬品のネット販売禁止は過度な規制」 楽天、ヤフーら102社が厚労省に意見書 - ITmedia News

楽天、ヤフー、医薬品のネット販売事業者100社の計102社は8月7日、医薬品のネット販売継続を訴える意見書を厚生労働大臣あてに提出した。 【楽天市場】ニュースリリース  厚労省は来年4月に施行予定の改正薬事法で、副作用リスクが比較的高い医薬品について、薬局店頭などの対面販売に限定し、ネット販売を禁止する方向で、関係省令の改正を検討している。  102社は「ネットのみに不当な制限を課す明らかに過度な規制で、消費者の利便性を損なうおそれがある」と主張。使用上の注意などの情報提供の仕方を工夫すれば、ネットでも店頭販売と同等の安全性を達成できると訴える。  医薬品のネット販売が消費者に浸透していることや、米・英・独では一般用医薬品のネット販売が認められていることなどからも「ネット販売を禁止することはニーズを無視した過度な制限」と主張している。  ネット販売が許容されるため条件については「実態を踏まえて個別に十分な議論を経た上で、省令に位置づけていただくことを強く要望する」としている。

「消費者の利便性を損なう」との主張ですが、医薬品という生命に関わる製品について、利便性の追求が本当に必要でしょうか?
「楽天、ヤフー、医薬品のネット販売事業者100社の計102社」が意見書を提出したとのことですが、販売時業者側の声ばかりで、本当に消費者の声を代弁しているのでしょうか?

ネットでの医薬品販売、実店舗と同様のものを - japan.internet.com デイリーリサーチ
↑上記によれば、

全体331人のうち、インターネットでの医薬品販売について、「便利だと思うが、規制してほしい」と考えているユーザーが42.3%(140人)存在している。「販売すべきではない」という強硬派は13.9%(46人)だ。
(中略)
以上から、大半のユーザーは、医薬品がネット上で販売されることにそれほど抵抗はないが、危険な薬剤の乱用を懸念しており、それを防止するなんらかの「規制」を望んでいるのではないか。

とまとめています。

「ネットで医薬品を購入できなくなると困ると答えたのは、全体の29%だった」という調査結果もあります。
「医薬品のネット販売継続を」 ネット薬局が自主ガイドライン策定 - ITmedia News

「国内でネット販売が規制されると、規制のない海外からの薬品の個人輸入が増え、危険性が増す可能性もある」という意見もありますが、そのような個人輸入は、医薬品のネット販売とはあまり関連性がないと思われます。
■ペットポータル■: 安易な動物用医薬品の個人輸入は避けましょう。

規制緩和を要望する側は、「副作用の強い薬をネットで購入する場合、メールなどで薬剤師に相談したり、「納書」(取扱説明書)をネット公開するなどで、安全性を高められるとしている」とのことですが、メールでの相談は結局、対面での相談ではないし、24時間対応できるわけでもないでしょう。納書をネット公開したからといって、必ず消費者が読むとは限らないのではないでしょうか?

ITmediaニュース:「薬のネット販売規制案、見直しを」――ネット薬局が要望書

いずれにせよ、今後の厚生労働省の動きを注視したいですね。
議論を尽くして、拙速といわれない決断をしてほしいと思います。

■関連記事■
厚生労働省:第1回医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会の資料について
厚生労働省:医薬品の販売等に係る体制及び環境整備に関する検討会報告書について
NPO法人日本オンラインドラッグ協会 自主ガイドラインを発表

投稿者 Yuki : 04:29 PM | コメント (0)

August 05, 2008

千石先生の話を拝聴しました。

8月1日に第30回動物臨床医学会 東京シンポジウムが開催され、参加しました。
これは、動臨研の協賛企業の意見交換会で、毎回、一社がキーマンとなって講師を招き、お話を伺ったあと、懇談するというものです。
482_1.jpg

今回のキーマンは、大日本住友製薬(株)で、講師は、どうぶつ奇想天外で有名な千石正一先生でした。

千石先生は、いろいろなデータを非常に分りやすくお話下さり、また、親父ギャグを交えて面白い講演でした。
482_2.jpg

お話の内容は、

地球上で毎日、数十という種類の動物が絶滅している。
我々人間の生活には何の関係もないと思うだろうが、例えば、ジャンボジェット機を思い浮かべて、これが地球、生物はそれぞれの部品だと思って欲しい。
ネジが10本くらいなくなっても、ジャンボは飛び続ける。でも、100本、1000本のネジが落ちてなくなっていったら、必ずどこかバランスが悪くなってくる。10000本、20000本のネジが落ちたとき、ジェットは墜落してしまうんじゃないか。

そんな風に分りやすい例で、危機について示しておられました。

オーストラリアに持ち込まれたウサギ、マダガスカルに持ち込まれたヤギなど、人間が持ち込んだ外来種によって、在来の動物種がいかに被害を受けてしまったか、人間のハンティングや乱獲によってどれだけの動物が絶滅していったか、について話が進み、外来種の話では、大きな島よりも小さな島よりも被害がすぐに表れやすいことが、ジャンボジェット機よりもセスナ機の方がネジの脱落が少なくても危険であることから説明されました。

非常に興味深い話でした。

最後に、聴講者の中から5名に、千石先生の著書「いのちはみんなつながっている」がプレゼントされました。


482_3.jpg

千石先生を講師にお呼びできたのは、キーマンを務めた、爬虫類好きの一人のマネージャーの人間関係だそうです。
そういう素敵な人間関係をもっているって、スゴイなぁ!と思いました。

投稿者 Yuki : 05:53 PM | コメント (0)

August 01, 2008

安易な動物用医薬品の個人輸入は避けましょう。

毎年、フィラリア予防のシーズン、ノミ・ダニ駆除のシーズンになると、「動物用医薬品を個人輸入で手軽に安く入手できる」旨を宣伝するサイトが多くみられます。

インターネットでのオークション出品は、薬事法違反で逮捕者が何人も出て、オークション運営元としても出品規制をようやく厳しくせざるを得なくなり、少なくなりました。
(ただ、もっと早くに、出品禁止をオークション運営元が打ち出していれば、逮捕されるような出品をそもそもすることができなかったのではないか、と考え、残念に思います。)

しかし、それでも、英文の添付文書の和訳資料などとする出品がなされ、結局は入札者に個人輸入を勧める出品者もまだいます。

今回、ペットポータルで取り上げたいのは、「では、その個人輸入で入手した動物用医薬品の品質は、いったい誰が責任を持って、保障するのか」ということです。

いくら「海外の正規品です」という文言があったとしても、もし事故があった場合、海外の会社が責任を取ってくれるでしょうか? 否です。
出品者が責任を取ってくれるでしょうか? たいていは、「ノークレーム・ノーリターンでお願いします」と書かれているように、それが薬として効くのか効かないのか、安全なのか安全でないのか、そんなことは、自分で製造して品質検査を行っていない限り、保障はできません。 やはり、否です。

人体用の医薬品では、こんなことが生じています。
個人輸入されている医薬品の中には、偽造の医薬品も含まれているということです。
偽造レビトラ錠にご注意|EDネットクリニック

・有効成分を全く含有していない
・表示されている有効成分以外の成分を含んでいる
・正規の有効成分を含有しているが、用量が過剰または過少である

これでは、期待する効果が得られるどころか、健康被害が生じる危険性もあります。
そして、医薬品を偽造するくらいですから、印刷や包装も完璧でしょう。一般には購入者はもちろんのこと、出品者ですら、区別がつかないのではないでしょうか。

このような事故も生じています。
これは、偽造ではなくて、米国の医薬品メーカーが、強心薬のジゴキシンを製造する際に、1錠中に2倍量の成分を含ませて製造してしまったというものです。
Actavis Totowa (formerly known as Amide Pharmaceutical, Inc.) recalls all lots of Bertek and UDL Laboratories Digitek (digoxin tablets, USP) as precaution
米国FDA(食品医薬品局)のサイトで、リコール(製品回収)が報じられております。

これと同様のことが動物用医薬品で起こることも考えられます。
もし個人輸入で入手した製品に、悪意はなくても製品に欠陥があった場合、どうします?
そのような情報を、海外から的確に入手できますか?
それで、大事なワンちゃん・ネコちゃんに何かがあったときに、オークション出品者を訴えますか?
訴えられたとしても、出品者も知らない情報であれば、責任の負いようがありません。

有効成分が少なくて、あるいは含有されていない製品を、飼い主さんは知らずにせっせと投与を行う。でも、翌年にはフィラリア症にかかっていることが判明したら・・・。
まったく関係ない別の成分が含まれていて、副作用が生じたら・・・。

そもそも、家族同様に大切なワンちゃん・ネコちゃんの病気を予防する動物用医薬品を、保障も何もないところから入手したご本人が悪いということにならないでしょうか?

個人輸入の場合には、税関で留められることがあります。
その際に、いろいろな書類を求められますが、動物薬メーカーでは原則として証明書は発行しません。
そして、それは理解できるポリシーだと思います。

インターネット等を通じて海外からメリアル製品を日本に個人輸入しようとされる方へ
メーカーに、メーカー自身も知らないルートで、いろいろな人の手を介して渡ってきた製品の保障をしろといっても無理な話です。

ですが、日本で製造販売承認の許可を得た製品は、日本の製造業者なり、販売会社なりが責任を取らなくてはなりません。製造物責任法(PL法)があり、薬事法があり、獣医師法・獣医療法もあります。
それで、飼主さんと愛犬・愛猫が守られるのです。

全ての個人輸入が悪だとは思いません。
また、個人輸入される製品の品質がすべて問題だとも申しておりません。

ただ、効果や安全性というものが求められる医薬品や動物用医薬品は、個人輸入する際にリスクが大きくてお勧めできませんよ、ということを申し上げたいのです。

ペットポータルからのお願いです。
安易な動物用医薬品の個人輸入は避けましょう。

投稿者 Yuki : 11:48 AM | コメント (0)