January 28, 2007

鳥インフルエンザの発生は、2つの点に分けて考えましょう。

今年になって、宮崎県の2ヵ所で鳥インフルエンザの発生がみられ、そして今日、岡山県でも鶏が22羽死亡し、ここでも鳥インフルエンザではないかと考えられています。早速、簡易テストが行われ、その後、確定診断も行われると予測します。

来週も鳥インフルエンザについて、いろいろ論じられることでしょうが、TVをご覧になる場合でも、新聞の記事を読まれる場合でも、いつも以下の2つの視点の、どちらでその記事が書かれているかを考えて、観るあるいは読まれると良いと思います。

その視点は:
1.人が食べる食品(鶏肉・卵)の安全性/危険性の観点
2.鳥→人→人に感染する新型インフルエンザへの変化の危険性/大流行(パンデミック)の観点
の2つです。

この2つを、混同して論じている記事を多く見かけます。そして、その記事によって、一般の人々が不安に感じたりすることにつながっているのでは、と感じます。

1の食品としての鶏肉・卵の安全性については、鳥インフルエンザの発生に関する食品安全委員会委員長談話にあるように、鶏肉・鶏卵は安全と考えられます。

食品安全委員会:鳥インフルエンザの発生に関する食品安全委員会委員長談話

また、農林水産省および独立行政法人動物衛生研究所でもQ&A形式で述べられています。
農林水産省:鳥インフルエンザについて知りたい方へ
動衛研:鳥インフルエンザ Q&A

その点で考えると、私たち自身が冷静に対処すれば、宮崎県の新知事が心配されているような風評被害はほとんどないと思います。

2の新型インフルエンザが大流行するのではないか、という視点については、確かに危機感は必要です。

今はまだ鳥→鳥の感染が主ですが、もし鳥インフルエンザが人にも感染しやすい型に変化した場合、日本では2,500万人が感染すると考えられています。
厚生労働省:新型インフルエンザ対策関連情報

しかし、日本では鳥インフルエンザの発生があると、その農場の鶏の全羽処分など、厳正な対策が行われるため、日本で鳥→人の感染がにわかに起こるとは考えづらいと思われます。ですから、今後、宮崎、岡山(ここは未確定ですが)以外の地域で鳥インフルエンザが発生したとしても、いたずらに騒ぐ必要はないとペットポータルは考えます。

鳥インフルエンザが変化した新型インフルエンザは、海外で鳥→人→人または鳥→豚→人の経路で感染したインフルエンザ患者の方が、外国から日本に飛行機や船などで入って来ることから生じるのでは、と想定されています。
しかし、その場合も、流行する国が先にあると考えられ、日本に住む人々が準備をする期間は十分にあるでしょう。

Q7. 新型インフルエンザに感染しないようにするにはどうしたらよいのですか?
A7.インフルエンザの予防法は、一般に①充分に睡眠、栄養を取り体力を維持しておくこと、②湿度を保つこと(50%程度)、③帰宅時にうがい、手洗いをすること、④マスクをすること、⑤人ごみを避けることです。新型インフルエンザが発生した場合、⑥新型インフルエンザの流行地への旅行を控えることなどが加わります。( 東京都福祉保健局健康安全室感染症対策課)

国や地方でも、以下のように対策を講じています。まず、我々としては、上記の一般的なインフルエンザの予防法を常日頃から実践することが重要です。

東京都福祉保健局:新型インフルエンザ対策
薬のことなら薬事日報ウェブサイト - 新型インフルエンザでガイドライン案‐感染拡大防止が柱

日本医師会:インフルエンザQ&A【医療従事者の方のために】(H.16)
日本医師会:インフルエンザQ&A(H.17)【一般の方々のために】

投稿者 Yuki : 12:41 AM | コメント (0)

January 27, 2007

犬のブルセラ症

大阪府和泉市の繁殖販売業者が飼育していた犬がブルセラ症に集団感染(257頭中118頭)していた問題を受けて、ペットポータルでは犬のブルセラ症について調べました。

イヌブルセラ症 動物からヒトにうつるブルセラ症のうち、イヌブルセラ症は最も軽症とされる。わが国には1970年頃、輸入された繁殖犬によって持ち込まれたと考えられる。

病原体:イヌブルセラ菌(Brucella canis)。

保菌動物となる愛玩動物: イヌ

愛玩動物における発生状況:
 家庭で飼育されているイヌにおける感染率は明らかではないが、動物愛護センター等に保護されたイヌの調査結果によると数%程度が過去に感染したことを示す抗体を保有している。イヌからイヌヘは交尾等によって伝播し、時としてイヌの繁殖施設において集団発生がみられる。
このような繁殖施設からペットショッブを経て保菌犬が購入される可能性がある。

患者発生状況:
 家畜由来ブルセラ菌(感染症法に基づく4類感染症)に感染したことが確認される患者はきわめてまれである、中でもイヌブルセラ症の症状は軽い場合が多く、感染を自覚しない感染者がどのくらいいるのかは不明である。イヌと濃密な接触をすることの多い獣医師に抗体陽性者が散見されるが、この場合も抗体検査によって感染に気づくことがほとんどである。

愛玩動物から人への伝播:
 イヌブルセラ菌は、尿や精液、感染大が流産した場合は流産胎児や汚物に排泄されることが知られている。このため、分娩の介助や死流産した胎児を取り扱うことによって感染する可能性がある。原因菌が傷口や粘膜から侵入したり経ロ的に侵入することにより感染する。

臨床像と治療:
 潜伏期間は通常1-3週間で、その後、発熱、発汗、悪寒、倦怠感、頭痛などのカゼ様症状を呈することがある。しかしこの菌はヒトに対しては病原性が弱く、発症することはまれである。
 発症した場合は他のブルセラ属菌感染の場合と同様に抗生物質を用いた治療が行われる。

愛玩動物の衛生管理と人への感染予防:
 動物用、人用ともにワクチンはない。
 イヌの購入に当たっては、死流産の発生がなく、生まれた子犬の発育が良好な信頼のおける繁殖所やペットショップを利用する。愛護センター等から入手する場合にはブルセラ感染の心配のない動物であることを確認し、愛護センターも検査体制を確立することが望ましい。
 飼育に当たっては、健康不良犬との接触を制限する、健康不良犬との接触を避けるため放し飼いを行わない、などが必要である。


出典:厚生労働省
「愛玩動物の衛生管理の徹底に関するガイドライン2006」より抜粋

また、その犬のブルセラ症の集団感染した問題を論じた記事を時系列に取り上げ、ペットポータルで要約を引用して、整理します。

大阪府では、保護している犬の治療後に譲渡先を探すとのことですが、完治して保菌していないことを確認するなど、まだ時間がかかりそうです。

2月8日追記 陽性犬は、安楽死することが決められたようです。ワンちゃん達には何の罪もなく、本当にかわいそうですが、大阪府の救援本部の決断にしても苦渋の決断だったと思います。陰性犬については、抗生物質の数週間にわたる投与後、再検査の結果、最終的に陰性であることを確認するとのことです。その後、個別管理をしてさらに6週間投薬し、その間に不妊・去勢手術を行い、譲渡していくとのことです。とても大変なことと存じますが、ペットポータルとしては、この活動がうまくいくよう祈っております

5月14日追記 以下のファイルが公表されています。
Download file
ワンちゃん達のご冥福を祈るとともに、このような痛ましいことが起こらないことを祈っています。
また、陰性のワンちゃん達それぞれに、ふさわしい飼い主さんが見つかることを祈念致します。


大阪府ブルセラ病感染犬等救援本部
ブルセラ病感染犬等の取扱方針について


2007年2月7日:ブルセラ症の犬116匹、安楽死へ 愛護団体は反発

大阪府和泉市の繁殖業者が飼育していた約260匹の犬の一部が流産などを繰り返す「ブルセラ症」に集団感染した問題で、府や獣医師らでつくる救援本部は7日、検査で感染が確認された116匹を安楽死させる方針を決めた。同本部は「治療しても完治せず、感染拡大のおそれ…

ブルセラ症の犬116匹、安楽死へ 愛護団体は反発:朝日新聞

2007年1月18日:飼育犬の118匹に陽性反応、ブルセラ症

大阪府は18日、検査した257匹のうち118匹に陽性反応が出たと発表した。来週中にも獣医師会などと救援本部を設置、今後の飼育や引受先を協議する。(日刊スポーツ)

飼育犬の118匹に陽性反応、ブルセラ症 - 大阪ニュース : nikkansports.com

2007年1月18日:ブルセラ症犬、118匹陽性 大阪府、治療方法など検討

府は来週にも獣医師会などと「救援本部」を組織し、飼育や治療、新しい飼い主への譲渡などの方法を検討するという。(asahi.com)

asahi.com:ブルセラ症犬、118匹陽性 大阪府、治療方法など検討-関西

2007年1月15日:ブルセラ症の犬、大阪府が一時引き取りへ

府は15日、感染犬を含むすべての飼育犬を一時的に引き取ることを決めた。検査や治療を施し、動物愛護団体の協力を得て引き取り手を探す方針。「感染症で数も多く、民間より行政が管理した方が適切と考え、異例の措置をとった」(府動物愛護畜産課)という。(asahi.com)

asahi.com:ブルセラ症の犬、大阪府が一時引き取りへ-関西

2007年1月10日:犬が「ブルセラ症」集団感染か 大阪府が検査へ

診断結果を受け、業者は感染した犬を隔離していたが、隔離方法が不十分だったために感染が拡大している可能性があるという。業者は今月6日に犬の所有権を放棄しており、現在、犬の世話は和歌山県の動物愛護団体「ワンライフ」が行っている。(産経Web)

犬が「ブルセラ症」集団感染か 大阪府が検査へ|話題|社会|Sankei WEB

2007年1月10日:犬がブルセラ症集団感染か

業者が犬を虐待しているとの通報があり、府が昨年12月下旬に立ち入り検査。虐待はなかったが、ブルセラ症感染について説明したという。(日刊スポーツ)

犬がブルセラ症集団感染か - 社会ニュース : nikkansports.com

人に感染した場合の治療法などは、「メルクマニュアル第17判」で調べられます。■ペットポータル■でも、メインページの右側バーにあるリンクメルクマニュアル 第17版 日本語版で調べられます。

2003年に静岡県の犬飼育施設でブルセラ症が集団感染があった際の調査報告は以下のリンクからご覧下さい。
健康危機情報 静岡県内のイヌ繁殖施設におけるイヌブルセラ症の流行について

投稿者 Yuki : 10:21 PM | コメント (0)

January 25, 2007

カエルツボカビに関する情報(続報)

1月13日に■ペットポータル■: カエルツボカビ症に関する情報として掲載したエントリーの続報です。

日本獣医師会の新着情報では、カエルツボカビ症に関する情報が「ツボカビに関するQ & A~一般のカエル飼育者の方々に~(最新版) 」として掲載されています。

特にQ.27の「消毒はどうしたらよいですか?」およびQ34の「ツボカビのことを、もっとよく知りたいのですが・・?」は、大幅に情報量が増えています。
(↓約300KBのPDFが開きます)
ツボカビに関するQ & A~一般のカエル飼育者の方々に~(最新版)

コア獣医師(一般の獣医師より、ツボカビに関する多くの知識を持っていて、最新あるいは詳細な情報をいつでも入手できる立場にある獣医師)の先生方の数も増えてきました。

●現在、コア獣医師がおられる都道府県

北海道、新潟県、栃木県、埼玉県、千葉県、東京都、横浜市、川崎市、神奈川県、愛知県、大阪府、岡山県、福岡県、沖縄県

日本獣医師会では、さらに募集しています。(約1.9MBもあるPDFでかなり重いです)
ツボカビ症対策に関する協力依頼


●ツボカビの特集が掲載されているウェブサイト

麻布大学
日本獣医病理学会、日本獣医病理学専門家協会
日本獣医学会
世界自然保護基金ジャパン
日本動物園水族館協会
日本爬虫両棲類学会
日本野鳥の会
野生生物保全繁殖専門家グループ日本委員会
生物多様性JAPAN
日本自然保護協会

●ペットポータル関連情報
■ペットポータル■: カエルツボカビ症に関する情報

投稿者 Yuki : 11:45 PM | コメント (0)

January 13, 2007

カエルツボカビ症に関する情報

海外でカエルなど両生類の激減・絶滅を引き起こしていると考えられる「カエルツボカビ症」が、日本でも確認されました。
両生類での致死率は90%以上とのことで、オーストラリアや中南米では大きな被害が出ています。

カエルなんて、私たちの生活に全然関係ないと思ってしまいがちですが、もしカエルがいなくなると、カエルが食べてくれていた昆虫が大量に発生する可能性があり、稲作など農林業に被害が生じることが考えられます。また、カエルを食物としている鳥やヘビ、ほ乳類などの野生生物の減少や絶滅につながることも予想されます。天然記念物のイリオモテヤマネコもカエルを重要な食物としており、絶滅の危機が高まることが危惧されます。

しかし、パニックにならないで下さい。高病原性鳥インフルエンザが日本に上陸したとき、全国各地で、飼育していた鳥を捨てる例が相次ぎました。中にはクジャクが捨てられた例もありました。
■ペットポータル■: 鳥インフルエンザ、学校の対応

今回、もし、ツボカビに感染したカエルなどの両生類を野生に捨てたり、ツボカビに感染した両生類を飼育していた水を川に捨てたりしたら、環境中にツボカビの胞子や遊走子が入り込んでしまい、根絶できなくなってしまいます。
以下に示すように、消毒法や、まだ確立はしていませんが、治療法があり、獣医師や専門家の下でちゃんと治療されれば、飼育し続けることができます。
もし飼い続けることは難しいと考えたら、以下のQ&Aにあるように、引き取ってくれるそうです。
両生類を飼育されている方々は、正しい知識をもって、冷静に対処して下さるよう、ペットポータルからもお願い致します。

日本の両生類に危機 カエルツボカビ症が国内で初確認:WWFの活動/WWFジャパン

16の研究機関、環境団体によって、国内でのツボカビ症の発症の確認を受け、緊急事態宣言が発表されました。これは今後、ツボカビ症の感染拡大の原因になり得るペット業者や個人の両生類飼育家、マスコミ関係、関係行政機関の方々に対し、問題の大きさと、早急な対応を求めたものです。
カエルツボカビ症侵入緊急事態宣言:WWFの活動/WWFジャパン

投稿者 Yuki : 05:57 PM