September 26, 2004

ペットポータル:献血公募による輸血システムの構築

9月3日付の投稿「■ペットポータル■: 第6回日本臨床獣医学フォーラム年次大会2004が開催されます。」で申し上げた通り、9月18-20日、ホテルニューオータニ東京で開催された同大会に参加してまいりました。

いろいろご紹介したい講演内容がございますが、表題の発表について特にご紹介したいと存じます。

献血公募による輸血システムの構築
○池田耕二 1) 内田恵子 1) 斎藤尚子 1) 苅谷和廣 1)  [敬称略]
1) ACプラザ苅谷動物病院 市川橋病院 (千葉県)

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【要約】

 輸血医療を円滑に進めるために導入したシステムの有用性
を図る目的で過去2年半の輸血記録を調査し、今後の展望も
含めて考察した。'01年6月から'03年11月までに総来院件数
193,859件中233例(0.14%)に対して新鮮全血(FWB)、保存全
血(SWB)、濃厚赤血球(CRC)、凍結血漿(FP)、新鮮凍結血
漿(FFP) のいずれかを選択し、輸血を実施した。総輸血量は
犬 14,931mL、猫 4,229mL だった。延べ件数は286例で、輸血
を受けた症例の16.7%(39例)にそれぞれ2.9回の複数回の輸
血を実施した。これらの供血システムの導入により円滑な輸血
が実施できた。

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発表を聴講して、これは非常に進んでいると感じました。 また、このようなシステムが地域ごとで、中核となる動物病院で組むことができれば、「献血バンク」という発想も不要となるほどの理想的なシステムではないかと考えられました。

こちらの動物病院ではこれまでも、院内及びスタッフの飼育動物(犬 7頭、猫11頭)から定期的に血液を採取して、輸血用血液を準備して保存されていたそうですが、スタッフの動物のみでは輸血の必要十分量を確保することが困難であったために、飼い主さんへの公募システムを始められたとのことです。

献血動物の公募は、一定の条件(1~6歳齢、去勢・未経産、犬は体重25kg以上、猫は体重4kg以上、主要なワクチン済みなど)を満たした犬及び猫から年2回、供血されるとのことです(犬は200-400mL 、猫で60mL)。
血液検査、血液化学検査、身体検査、糞便検査、尿検査、犬ではフィラリア抗原検査・血液塗沫によるバベシア検査、猫ではFIV(猫免疫不全ウイルス)・FeLV(猫白血病ウイルス)・FCoV(猫コロナウイルス)・トキソプラズマ抗体及び血液塗沫によるヘモバルトネラ検査が行われて(これだけ、採血前に行ってもらえたら、血液を提供する側のワンちゃんネコちゃんにとっても立派な健康診断ですよね!)、採血されるそうです。

新鮮全血は6℃以下で採血後72時間以内、保存全血は6℃以下で21日間、濃厚赤血球(PCV80%以下)は6℃以下で21日間、新鮮凍結血漿はー80℃以下で1年間、凍結血漿はー80℃以下で3年間保存とのことです。

公募開始後12ヶ月間での献血実施頭数は犬50頭、猫55頭と非常に多く、質疑応答の時間で、別の病院で勤務されるVT(動物看護師)の方から、希少な血液型の犬猫に輸血が必要な場合はどうするのか、との質問がなされましたが、これならば血液不適合などの事態が生じても、うまく対処できるのではないかと感じられました。

このシステムは、座長の本好先生やアドバイザーの細井戸先生・高倉先生からも高い評価を受けておられました。

特に、全血輸血ではなく成分輸血が行われている点は、輸血による副反応が起こる可能性を減らすためにも非常に有用だと思います。
実際、輸血中に問題が生じたのは233例中3例のみ(1.29%)だとのことです。

また、発表者の池田先生から「定期検診に血液型判定を含めることは、クライアントに対して獣医輸血医療の重要性の意識を高める上で効果的である」とのご意見もありました。

投稿者 Yuki : 11:40 AM | コメント (13)

September 25, 2004

第一化学薬品(株)、動物薬事業から撤退

犬・猫の血液型判定の「ラピッドベット-H 犬・猫血液型判定キット」の販売元である第一化学薬品株式会社が平成16年9月末日付で動物薬事業から撤退し、本製品の販売が共立製薬株式会社に移管されることになります。

これは、第一製薬株式会社、第一ファインケミカル株式会社が平成16年6月に動物薬事業から撤退したのに引き続くものです。
(第一製薬(株)の合成抗菌剤「動物用タリビッド錠(オフロキサシン)」や第一ファインケミカル(株)の犬フィラリア症予防薬「パナメクチン錠(イベルメクチン)」などの製品は、明治製菓株式会社に移管されています。) 

犬猫の輸血について学術的な側面でご協力下さいましたtaniさんから情報のご提供がありました。

但し、獣医師の先生方、飼い主の方々には、実際上の問題はほとんどないと考えられます。

平成16年10月1日から「ラピッドベット-H 犬血液型判定キット」および「ラピッドベット-H 猫血液型判定キット」の販売業務は第一化学薬品㈱から共立製薬㈱に継承されますが、継承される共立製薬㈱は動物薬を扱うメーカーの中でもトップクラスの会社であり、販売元が変わったというだけで今までどおりワンちゃん・ネコちゃんの血液型は測定できます。

安全な輸血医療のためには血液型測定とクロスマッチテストの併用が不可欠だと考えます。

飼い主のみなさんも、ワンちゃん、ネコちゃんの血液型を健康なときに測っておいてはいかがでしょうか。いざというとき供血してもらえる相手が探しやすいというメリットがあります。

投稿者 Yuki : 09:47 AM | コメント (0)

September 24, 2004

こうすれば安心ー人とペットの共通感染症ー

8月23日の記事投稿■ペットポータル■: 市民公開講座「人と動物の共通感染症予防対策」で申し上げました通り、北海道大学で開催された日本獣医学会に参加してまいりました。

北海道大学大学院獣医学研究科の高島郁夫教授が、市民公開講座で講演された内容につきまして、飼い主の方々に有用と思われる部分を講演要旨から引用いたします。

こうすれば安心ー自分の健康は自分で守る知識と習慣を身につける

-------------------------引用ここから-------------------------

動物に対する注意事項としては、

(1) 散歩中の糞は必ず持ち帰るかしっかり埋める
    (病原体の汚染・拡散の防止)
(2) 糞で汚染された砂場などで遊んだ時も手を洗う
    (回虫卵の汚染防止)
(3) 日頃交流のない他の動物と濃厚接触を制限する
    (動物間の感染防止)
(4) 生肉を与えない
    (動物の経口感染を防ぐ)
(5) 動物の健康状態に変化があるなら動物病院に相談する
(6) 定期的に健康診断を受ける

飼い主が気をつけることとして、

(1) 動物との濃厚な接触(口移しで食物をあげること、動物と同じ布団で寝ること)を避ける
(2) 動物に触ったり、汚物を処理した時は必ず手を洗う
(3) 動物にかまれたら、その部分をよく洗浄・消毒し、症状があらわれたら病院で診療を受ける(パスツレラ症、猫ひっかき病)
(4) 輸入野生動物の、家庭での飼育をやめる(どのような病原体を持っているか不明なため)

-------------------------引用ここまで-------------------------

どれも当たり前のことですが、それが当たり前としてできていないためにペットから病気をもらったり、または人からペットに病気を与えてしまったりすることがあります。

しかし、高島先生もおっしゃっておられるように、「人獣共通感染症はその病原巣動物の習性・行動・履歴、感染症の特徴・うつり方(感染様式)、予防上の注意点などの知識を正しく理解すれば、怖い病気ではありません。」

同じ動物をペットとして長年飼って来られて、どこに行ったか、どんな動物と接したか、何を食べたか、などが分かっていれば、今まで習慣として続けられていて何も問題がないのであれば、別に、その習慣までも変える必要はないのではないかとも言えます。

但し、輸入野生動物にはご注意が必要だと思います。その動物が、数ヶ月前あるいは半年前どのような環境で生活していたか、全然分からないことがほとんどです。
そのような動物に、口移しで食事を与えたりしたら・・・、これは動物の病気をわざわざもらいに行っているようなものであることは容易にお分かりいただけるのではないでしょうか。

投稿者 Yuki : 10:38 AM | コメント (1)

September 22, 2004

米国、人のワクチン大量備蓄 鳥インフルエンザ

米国では、14億円をかけて、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)の人用のワクチン200万ドーズ(投与回数)分を製造・備蓄するそうです。

トンプソン米厚生長官は21日、アジアで再燃している
高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が人
で大流行する事態に備え、H5N1型に対する人用の
ワクチン200万回分を製造、備蓄すると発表した。

 【ワシントン21日共同】
 この型のウイルスが人に感染しやすいような遺伝子
変異を起こすと世界的大流行につながる恐れが大き
いと指摘され、ワクチン開発も各国で進んでいるが、
これほどの規模の備蓄を打ち出したのは米国が初
めて。日本など各国の対策にも影響しそうだ。
(以下略) 記事提供:共同通信社

米国では、カイロン社が製造予定の人用インフルエンザワクチンが供給できなくなり、供給量が半減するとことが10月5日に発表されていますが、
■ペットポータル■: 米で深刻なワクチン不足に 今冬のインフルエンザ
このように鳥インフルエンザウイルスの人用のワクチンを製造することを予定しているとのことであり、対応が非常に早いと思いますね。

投稿者 Yuki : 01:06 AM | コメント (0)

September 07, 2004

ラッキーちゃん、ありがとう。

かなしいお知らせがあります。
多くの飼い主さんから応援を頂いていたラッキーちゃんですが、昨日、亡くなったそうです。

色々お世話になりましたが、ラッキーはやはり私の状態を察したのでしょう。
急変し本日9時に私のおきるのを待って私の胸の中で永遠の眠りにつきました。
今まで本当にありがとうございました。
こんなに私思いの子はいませんでした。

土曜日にメルマガを発行し、そこからも供血の申し出があり、またご自身でも供血して下さるワンちゃんをみつけてこられて、望みをつないでおりましたのに。

ラッキーちゃん、よくがんばったね。もう痛くないからね。

ラッキーちゃんの冥福を心よりお祈りします。
皆様、応援やご協力、本当にありがとうございました。

投稿者 Yuki : 09:00 AM | コメント (1)

September 03, 2004

第6回日本臨床獣医学フォーラム年次大会2004が開催されます。

2004年9月18日(土)19日(日)20日(月・祝)に、ホテルニューオータニ東京 ザ・メイン(TEL:03-3265-1111)において、第6回日本臨床獣医学フォーラム年次大会2004が開催されます。

第6回日本臨床獣医学フォーラム年次大会2004

市民フォーラムも充実しています。
【市民フォーラム】
はじめて犬を迎えた時のしつけ方/高倉はるか先生(相川動物医療センター)
 ※高倉先生は、TVの「どうぶつ奇想天外」でもおなじみの先生ですね!

今1番気になる人と動物の共通感染症のホント-BSE,SARDS,鶏インフルエンザ,etc./杉田繁夫先生(日本中央競馬会)

身体障害者補助犬法施行にあたって-障害者の社会参加と補助犬の役割/高柳友子先生(NPO法人日本介助犬アカデミー)

高度化する伴侶動物医療と動物医療保険/小森伸昭氏(アニコム)
  ※小森氏は、 anicom の理事長です。

まだまだありますよー。

聖路加国際病院の小児科病棟-動物介在活動,動物介在療法/(日本動物病院福祉協会)

気がついたら問題行動だった/高倉はるか先生(相川動物医療センター)

-人と動物の絆-ヒューマンアニマルボンド教育/加藤 元 先生(ダクタリ動物病院広尾セントラル病院)

私たちは命の預かり主-伴侶動物と暮らし始める前に,私たちは命の預かり主-伴侶動物との素晴らしい暮らし,そしてお別れとその後まで/柴内裕子先生(赤坂動物病院,日本動物病院福祉協会)
 ※柴内(しばない)先生のお話を伺いますと、いつも新しい感銘を小職は受けます。

今問われる伴侶動物の遺伝性疾患/陰山敏昭先生(麻布大学,日本動物遺伝病ネットワーク)


また、獣医師向けの【症例検討会】では、
献血公募による輸血システムの構築/池田耕二先生(ACプラザ苅谷動物病院市川橋病院)
の発表がなされる予定です。どのようなご発表なのか興味深いですね。

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投稿者 Yuki : 10:28 PM | コメント (0)

September 01, 2004

バビちゃん、がんばったね。

悲しいお知らせですが、供血犬の募集でペットポータルにご協力下さっていたachixさんのbAbi(バビ)ちゃんがわずらっていた「悪性組織球症」のために、8月31日に亡くなられたとのことです。
bAbi-Boo Days

ご冥福を心よりお祈りします。

バビちゃん、がんばったね。 もう痛くないからね。
天国でボール遊びをいっぱい楽しんでね。

achixさん、本当にご愁傷様です。
バビちゃんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

投稿者 Yuki : 10:52 PM | コメント (3)