前号の■ペットポータル■: Yahoo!オークション、そんなのあり?では、要指示医薬品という違法出品を取り締まれないYahoo!オークションと違法に出品し続ける業者(あえて業者と書きます)について書きましたが、それ(違法出品)がなくならない状況には、需要があるからだとメールを頂戴しました。
確かにそうですね。
買う人がいるから、販売する人がいるわけです。
小職は動物病院を開設しているわけではありませんが、多くの開業の獣医師の先生とお話をする機会があります。
その際、最近、特に聞くことが多いのが、ペットの特別療法食・ノミダニ駆除薬を処方するのをやめようかと思っている、このままでは廃業も考えなくてはいけない、というものです。
ペットの特別療法食とは、尿石症をわずらっている、食物アレルギーがある、糖尿病である、関節炎があるなど、健康ではないワンちゃん・ネコちゃんのために、特別に成分が調製されたペットフードです。
本来は、健康なペットに与えるものではなく、何らかの症状が出ている個体に与えるフード(食事)ですから、いつからいつまで与えるか、どれくらい与えるかを獣医師が、その犬猫の個体ごとに診察して処方してもらう必要があります。
そのため、ペットフードメーカーも、一般のペットショップで販売される健康維持食とは異なり、動物病院で販売されるよう、流通ルートを分けています。
しかし、これは動物用医薬品ではありません。
食事療法の一つといえますが、治療として用いて、有効率が70%以上とか、薬効が国で確認されたものではなく、そのため医薬品でいうところの「効能・効果」を謳う(うたう)ことはできません。
また、人でいう、トクホ(特定保健用食品)というカテゴリーはペットフードにないので、曖昧といえば、曖昧です。
ですが、獣医業界としては、ペットの健康に資するため、メーカー・ディーラー・動物病院がそれぞれ努力して、その流通を維持してきました。
しかし、その曖昧さがある故に、何軒かの動物病院がこれをバンバン、ネット販売をしています。
でも、先程も申し上げた通り、この特別療法食は健康維持食とは異なり、漫然と与え続けて良いものではありません。
例えば、心臓病のワンちゃんに、減塩食としての特別療法食を与えますが、最近の研究では長期に減塩食を与えることはよくない、との研究報告が出されています。しかし、ネット販売動物病院は、診察している訳ではありません。ただ注文があれば、「まいどおおきに」と郵送するのです。
それでは、飼い主さんは、ペットの個体の状況を獣医学的に正確に判断できるのでしょうか?
できる方もいらっしゃるかもしれませんが、たいていはNOでしょう。
かかりつけの動物病院に行けるか? もし負い目を感じていたら、飼い主さんも地元のかかりつけの動物病院にはいけないでしょう。
そうすると、良かれと思って、ネットで購入したことが、ワンちゃんネコちゃんにとって大きなマイナスになるのです。
確かに安いものではありません。
けれど、そこでの価格には、単にモノの値段だけでなく、病気のことについての説明、治療法についての説明、フードについての説明などの説明責任と、それにかかった獣医師の時間が含まれています。また、■ペットポータル■: Yahoo!オークション、そんなのあり?でも書きましたように、獣医師として、何か異常があったら再診しますよ、あなたのワンちゃんの健康をトータルに責任を持ちますよ、という責任を自分に課して、処方していることを忘れないで欲しいと思います。
「病気について、治療法について2時間話をして、飼い主さんが同意してくれた。フードを処方したが、次からは取りに来ない。病状を心配して電話をかけたら、『ネットで買いました』と言われた。ペットポータルさん、もうこんなやりきれないことはないですよ。これが1日に2件、4時間が空費されたら、もう病院として経営が成り立ちません」と相談を受けます。
皆さん、想像して下さい。あなたの地元のかかりつけの動物病院が廃業してしまって、一生、行くこともないネット販売の動物病院が栄えている姿を…。すでにその予兆が出ています。
この問題の根が深いのは、売れるからといって、ネット販売している業者の多くが、動物病院を併設している獣医師が経営しているということです。
さらにペットショップで販売されている特別療法食は、動物病院が製品を回しているところもあるようです。
さて、次いで苦情が多いのが、動物用医薬品のネット販売です。
ネット販売している動物病院は、動物病院としてではなく、薬事法でいうところの「一般販売業」という業態許可を取得して、薬剤師を雇い、薬局として販売を行っています(逆に申しますと、一般販売業をもたずにネット販売しているところは、薬事法違反です)。
但し、毒・劇薬、要指示医薬品、休薬期間が定められた医薬品等については、薬事法の規定に違反する、使用者に対する情報の十分な伝達や、医薬品の適切な品質管理が確保されない等があるため、農林水産省として、インターネットや通信による販売を行わないよう指導しています。
フィラリア予防薬は、獣医師の処方せんが必要な要指示薬ですので、ネット販売はできません。
けれど、ノミダニ駆除薬は、要指示薬でも休薬期間が定められた医薬品でもないので、一般販売業があれば、ネット販売はできるのです。
動物用医薬品をネット販売する獣医業者は、ここに正当性を得て、販売しています。
ですが、敢えて「ですが」とペットポータルは、飼い主さんに問いたいと思います。
そのノミダニ駆除薬は、飼い主さんにとって本当にネットで買わなくてはいけないものでしょうか?
その特別療法食は、ネットで買わなくてはならないものでしょうか?
あなたの愛するワンちゃん、ネコちゃんが病気になったときに、親身になって夜中でも休日でも診てくれるのは、どこでしょうか?
もしあなたのかかりつけの動物病院が赤字で倒産して廃業してしまったら、どうするのですか?
あなたの街にもあるであろうシャッター商店街を思い起こして下さい。
閉院した人の病院や歯科医院もあると思います。
日本にある、6割の動物病院は、獣医師一人で開業されている病院です。
Winner takes all (勝者がすべてを得る)といいます。
しかし、努力している人の上前をはねるようなネット企業のやり方はいかがかと思います。
そして、飼い主さん、あなたが、それを助長しているとしたら・・・。
某多摩センターの病院のような、、あの病院は行き過ぎかと思い
ますが、あのような先生がいるから病院不信になるのも解る気も
しますが。。
しかし、根本はやはりモラルの低さ、権限喪失にあると思います。
どこにでも転がっている“バクロ本”みたいな本。読んだことが
ありますが、一部の闇の部分だけを誇張して、全ての獣医師が、
フード業者、製薬会社と結託して、飼い主から暴利を貪っている
ような印象を与える内容。。それをまた、信じてしまう飼い主。
ネットの2ちゃんなどでも、真偽を確かめもせず悪意に満ちた投稿
内容が非常に目立ちます。
一方、専門的なガイドブックも出ていたりして、飼い主の方も
なまじ、付け焼刃な知識を持ってしまうので、手を出してしまう
のではと思います。薬局で買うような感覚で、ネットでも買って
しまうのではないでしょうか。薬事法があり、処方箋のいらない
薬というのは、ごくごく効果が弱められたお薬です。そういった
ことも知ってか知らずか・・・・自分は医者じゃないし、薬剤師
では無い。知識として持つことはいいことだけれども、それで
「専門家」になった訳ではない、ということをキモに命じて欲しい
ですね。
えるままさん:
コメント有難うございます。
そうなんですね。病院不信が根底にあるんでしょうね。
一部の獣医師が非常識なことを行うことで、その他多くの先生方が迷惑を蒙っています。
「権限喪失」…、そうですね、残念ながら。
自ら処方する権限を有しながら、その責任を果たさない獣医師がいることで、責務に真面目な先生方の権限までも失わせてしまっているのが現状だと思います。
飼い主さんが、行ったこともないネット病院やオークションで動物用医薬品や特別療法食を購入することが、どういうことにつながるか、ということを考えています。
結局それは、巡り巡って、飼い主さんの不利益になる危険性がありますよ、ということなんです。
3月に獣医大学を卒業し、4月に動物病院に研修に行って、2ヵ月たったこの時点で、もう自信がない、という新卒の獣医師の方のお話も聞きます。
一般に思われている程、獣医師はぼろ儲けしている訳ではないし、新卒や勤務医の先生の勤務状態は過酷です。
それが、ネット病院の存在でさらに加速している状況を見聞きすると、心配でたまらんのです。
Posted by: ペットポータル : June 19, 2007 11:15 AM2007/09/21-16:51
ネットでペット薬違法販売=獣医師を逮捕、「経営苦しく」-大阪
記事内では書かれていませんでしたが
NHKの関西ローカルニュースではヤフオクだ、と言っており
Yahooも今後は監視を強めたいとコメントしたそうです。
ペットポータル様、はじめまして
開業20年になります開業獣医師です。
動物医薬品のネット販売について調べておりましたら、こちらのブログにたどり着きました。
近年、処方食のネット販売に頭をかかえる獣医師の一人です。
こんな田舎でも、じわじわとネット購入者さんが増加しております。
ネット購入者さんのカルテを拝見すると、病院通院率が格段に減少しております。ささいなことも相談できずに、定期健診もおろそか、ワクチンさえも接種遅延とどんどんルーズになって最終的には、カルテが消えていきます。
ネット購入者さんに、お聞きすると『何かあった時は、お願いします』と言われますが、何かとは何でしょうね。その時に体重だけ計りましたが、肥満でしたがサンプルを渡すことを躊躇してしまい、心が狭い人間だなと自分を責めました。その方は、ネットで買う以前は、とても病気に対して熱心な方でしたが、ここ1年通院はありません。
薬品業者は、大量のサンプルを送ってきますがとても矛盾を感じるようになっております。
また、先日、老齢性の慢性腎不全猫を診察しコバルジンを処方しました。その後通院がなく半年後に別の猫(これも老齢)で診察に来られ、以前の猫と質問すると薬をネットで購入後、数ヶ月で亡くなったとのこと!?
え、コバルジンも買えるのかと調べると、案の定、購入できるのですね~。
たしかに要指示でもないし・・・しかも、こんなに安く!と感謝のコメントが・・・異常な世界を感じました。
しかも、その飼い主さん、『1箱買ったので、次の猫に使います』って、診断していないのに・・・開いた口がふさがりません。
同等製品の『クレメジン』御存知のように人体薬は、絶対ネットや薬局では、販売できないのに動薬は許せるのか疑問を感じ、農林水産省と日本獣医師会には、実名でメール致しました。乱文で、申しわけありませんでした。
「田舎の獣医師です」先生:
コメント有難うございます。
そうなんですね、ささいなことも相談できずになって、病院を転々とせざるを得なくなって、飼主さんご自身の知識で対処できない病気になってしまったら、どうされるのか、本当に心配です。飼主さんご自身の気持ちも心配もそうですが、ワンちゃんネコちゃんのこともとても心配です。
そしてネット販売している業者(あるいは獣医師、あるいはそこに薬を納入しているディーラー)の方々に申し上げたいのは、そこなんです。診察をしたこともなく、何百㎞も離れた場所にいるかもしれない飼主さんに、薬を売って、その責任は飼主さんの自己責任で済ます気でいるのか、ということです。
獣医師法第19条では、「診療を業務とする獣医師は、診療を求められたときは、正当な理由がなければ、これを拒んではならない。」とあります。
そのため、「何かあった時」に飼主さんがワンちゃんネコちゃんを連れて来られたら、「田舎の獣医師です」先生も診察しないわけにはいかないでしょう。
「そんな不合理な!」とおっしゃられるかも分かりませんが、私たち獣医師は、獣医療という「医療」を提供している訳です。
そして、ネットで購入している飼主さんにもぜひそこをご理解いただきたいと思う次第です。
同じく、獣医師法第20条には「獣医師は、飼育動物の診療をしたときは、その飼育者に対し、飼育に係る衛生管理の方法その他飼育動物に関する保健衛生の向上に必要な事項の指導をしなければならない」ともあります。
「インターネットで売っている業者がいるからといって、飼主さんご自身のご判断で、動物用医薬品を買うのは、大きな危険が伴う可能性もありますよ。自分に、あるいは自分の子供に、ネットで買った薬を与えますか?」とお話しすることも可能かと思います。
そうして、見ず知らずのネット業者ではない、かかりつけの地元の病院ならではの信頼を飼主さんに感じてもらうことが一つの突破口になるのかな、と思っています。
動物用医薬品のネット販売は、農水省の講習会などで伺うと、一般販売業を取得すればできると聞いたことがあります。同一成分の医療用医薬品が販売できないならば、同じ薬事法の解釈がなぜそこが違うのか、確認する必要がありますね。
Posted by: ペットポータル : January 21, 2008 08:57 PMけど、うちのねこはとても元気だったけど、FIPというのに感染していたらしくて、「毎日ポリリチンという薬を一生飲ませ続けないと死んでしまう」と動物病院に言われて、安くない費用を払って5年以上も飲ませ続けていたら糖尿病になっちゃって・・・。そのとき病院に言われたことは「何でポリリチン飲ませてるの?これ飲ませていたら体のインシュリンでなくなるからダメだよ。」だって。同じ病院だよ。しかもその間何度もその動物病院に行っていたのに。ひどい!!その後、ミミズの漢方薬で糖尿病が治るといわれて飲ませたらそれが原因で死んでしまいました。ミミズの薬が治研用(認可されていない研究用)だと知ったのはねこが死んでからでした。殺されたようなものだと思っています。こういうの文句いえる場もないし泣き寝入りでした。だから動物病院だってあてにならない。
Posted by: ○○動物病院嫌い : April 30, 2008 06:26 PM医者の敵は医者ということではないでしょうか?
猫が病気になり一件目の獣医では暴れて治療にならないという事でインシュリンを打たれ低血糖のまま退院させられそうになり
慌ててブドウ糖を打たせ退院
二件目ではインシュリンを小分けにして14日分処方され
ビンの中に空気中の結露が発生最後の5日はインシュリンが効かず
猫は高血糖の持続で跛行気味
薬品メーカーに問い合わせれば其の様な処方は保証しかねると言われ
(獣医からインシュリンを使用前に転がせと言われたので
転がしていたらメーカーからそんな必要はないと笑い飛ばされ)
インシュリンを分けずに処方してほしいと言えば医院長の方針で
そんな事は出来ないと獣医に言われる
院外薬局でいいから処方箋を書いてほしいと頼むと獣医師は
処方箋発行の義務がない事を盾に取り嫌だとの事
2件目の病院は値段は高く日本獣医師会のページを参考にするなら
検査費用は平均の3倍 入院費用は平均の2倍 会計は不明瞭
再度転院を考え他の獣医に電話をすれば
猫を連れてこい前院の検査は信用できないから検査をさせろ
度重なる入院検査で猫の手足はハゲと硬結とカザブタだらけ
転院もままならない
猫の介護をしている人は高血糖にふるえ低血糖におびえ
ノイローゼ寸前
獣医に要求しているのは薬効の確かな薬を出してほしい
メーカーから保証しかねると言われる様な処方はしないでほしい
当たり前の希望が叶わないのに金ダケはしっかりとる
どの病院も誠意誠実を詠っているけれども行ってみると
上記の有様
こんな獣医が多い中インターネットで薬が手に入るのなら
有り難いと思うし利用すると思う。
(インシュリンは手に入らないけど・・)
消費者の自戒を求める前に医師の自戒を求めるべきでは
ないでしょうか
確かにフィラリアの薬等の販売は完全に薬事法違反だし、実際危険を伴うので取り締まるべきだと思いますが、蚤取りや処方食はどうかなと・・・蚤取などは医薬部外品に指定されて薬局等でも販売されるべき製品だし処方食はただ成分調整されたペットフードで薬ではありませんし。。。
処方食や蚤取が売れないから潰れる病院って。。。
元々技術や、経営能力、努力が足りないって事では?
動物医薬品のネット販売の事態は深刻化しています。
今度の総選挙で
近くの自民党や民主党の事務所へいき
処方食を雑品から病院専門食へ
法改正をお願いしましょう。
みんなで行けば変わる!
Posted by: みどり : September 11, 2008 11:31 PM>「病気について、治療法について2時間話をして、飼い主さんが同意してくれた。フードを処方したが、次からは取りに来ない。
この部分はすごく納得します。
その説明自体、他の職種のように10分あたりいくら、とできれば別でしょうけど。診察料は払ってるといっても金額的にはそれほど高くもないでしょうし、他の実際の診察もいっしょにおこなっているとかがあるのでは。
どちらかというと無料で、というのが多いのではないでしょうか。
別な意見では購入相談はどこでもやるじゃないかといわれるかもしれませんが
1.療法食は1日に数十~数百出るものではない
2.いわゆる利益分というのはそれほど多くない
数がたくさん出るか、数は出ないが1つあたりの利益が大きければそれだけの時間を費やすのに見合うのでしょう。