August 14, 2004

鳥類とウエストナイル熱

日本ではまだ感染例が確認されていませんが、米国で1999年以降、猛威をふるっている疾病がウェストナイル熱(ウェストナイルWest Nileは固有名詞ですので、そのまま日本語にするのが正しいと思いますが、西ナイル熱と報道されている場合もあります)です。

米国疾病対策および予防センター(CDC)では、脊椎動物における生態学として各種動物とウェストナイル熱の関係を解説しています。

CDC: West Nile Virus - Vertebrate Ecology(脊椎動物の生態学)

ペットポータルでは、これまで、 、 犬と猫 と順々にみてまいりましたので、鳥類について取り上げたいと思います。

但し、一部の内容については米国での状況についてのものであり、現在、ウェストナイルウイルスが上陸していない日本には当てはまらない点もあることをご承知下さい。現時点で正しいと考えられる疫学的な情報をお伝えする目的で掲載するものです。

伝播(でんぱ)経路

ウエストナイルウイルス(West Nile Virus、以下 WNV)は、このウイルスの媒介動物(vector、ベクターといいます)である蚊と、固有宿主(reservoir、レゼルボアといいます)の動物との間で繰り返し感染することにより、増殖します。感染した蚊はウイルス粒子をだ液中に含んで運び、感受性のある鳥類に感染させます。固有宿主である鳥類は、感染性のウイルス血症(血流中にウイルスが循環している状態)を感染から1~4日間、持続し、その後、終生免疫を獲得します。 

他の感受性のある動物への吸血を確実にするためには、十分な数の媒介動物(つまり、蚊)が、ウイルス血症となって感染性のある宿主(野鳥)を吸血しなければなりません。

人や馬、そして他の多くの哺乳動物は、感染性のあるウイルス血症になる可能性はほとんどないことが知られています。つまり、人や馬、そして他の多くの哺乳動物は「終宿主」であり、偶然的な感染(incidental infection)であるとされています。

ここから、この感染環を分かりやすく表現した写真をご覧いただけます。
CDC: West Nile Virus - Flowchart: West Nile Virus Transmission Cycle

鳥類

ウェストナイルウイルスは、少なくとも138種類の死んだ鳥類から分離、検出されています。

鳥類の中でも特にカラスとカケスはWNVに感染すると死亡するか、病状を表しますが、多くの感染した鳥類は生き延びます。
米国でウエストナイルウイルスにより死亡した鳥類の一覧は下記のリンクからみていただけます。
CDC: West Nile Virus - Vertebrate Ecology > Bird Species

感染した鳥(生きていても死んでいても)を触ったことで、人に感染する可能性を示す証拠はありません。しかし、もし死亡した動物を触るときは素手で触ることは避け、手袋か2重にしたプラスチックバッグを使って鳥の死体をゴミ袋に入れるか、地元の保健所の指示に従って下さい、とのことです。

日本でも、今年の鳥インフルエンザの発生の際には、環境省からの発案で、死んだ野鳥のウイルス検査が行われましたが、すぐに実施されたことに驚かれた方もおられるのではないでしょうか。これは、ウェストナイルウイルス侵入時の対策として、2年前から農林水産省が各都道府県の家畜保健衛生所と体制を組んで来たことが奏効したためといわれています。

投稿者 Yuki : August 14, 2004 12:08 AM
コメント
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?