August 12, 2004

馬のウエストナイルウイルス感染症

ペットポータルでは、動物におけるウエストナイル熱(西ナイル熱)について調査し、ご報告しています。
今回は、馬におけるウェストナイルウイルス感染症について、また日本で講じられている対策についてご説明します。

ウェストナイルウイルス(West Nile Virus, WNV)とは

WNVは、フラビウイルス科フラビウイルス属に属する1本鎖RNAウイルスです。WNVは同じフラビウイルス属の中で日本脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、マレーバレー脳炎ウイルスなどと血清学的に極めて近縁で、これらのウイルスを含む約10種類のウイルスとともに日本脳炎ウイルス血清群に含まれます。
わが国には、日本脳炎ウイルスが常在しており、かつすべての競走馬には日本脳炎の不活化ワクチンが接種されています。そのため、WNV感染症の血清学診断を行う場合には、抗体の交差反応性を考慮し、慎重に行う必要があります。
(ここに記載のように、日本ではWNVと近縁な日本脳炎のワクチン接種がすべての競走馬に行われ、抗体を持っているので、米国のような大流行にはならないとする専門家もおられます。)

馬での症状について

馬でも多くは、特定の症状を示さない不顕性(ふけんせい)感染であると考えられています。脳炎を発症した場合の死亡率はおよそ30%であり、高齢の馬ほど高い傾向にあります。臨床症状としては、運動失調(つまずき、よろめき、歩様異常)、旋回、後肢の虚弱、複数肢の麻痺、起立不能、筋肉の攣縮(れんしゅく)、口唇麻痺、歯ぎしり、盲目などが報告されています。

WNVの分布と最近の主な発生状況

馬では、1996年にモロッコ、1998年にイタリア、1962年・1965年、そして35年ぶりの2000年にフランスで感染例が報告されています。
そして米国では1999年以降、2002年まで毎年報告例が増えていますが、後述するワクチンの普及により発生は減少しています。

治療、予防および対策

特定の治療法はなく、症状に対する対症療法を行います。
予防法としては、米国では2001年8月から馬用不活化ワクチンが条件付きで認可を受け、1年以上にわたる野外調査成績をもとに2003年2月に正式認可を受けています。
日本では、国の防疫上のリスク管理を目的として、このワクチンを国家備蓄しています。
対策として、日本では2002年10月に農林水産省、日本中央競馬会(JRA)、動物衛生研究所の専門家などが参加するウェストナイルウイルス感染症防疫技術検討会が開催され、万が一侵入した際の馬の診断体制や鳥類の疫学調査体制の確立に向けての検討がなされ、「ウエストナイルウイルス感染症防疫マニュアル」が制定されています。

資料:「平成15年度競走馬防疫・衛生推進中央協議会特別講演資料」(JRA 杉浦建夫先生)より

投稿者 Yuki : August 12, 2004 11:51 PM
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