米国疾病対策および予防センター(CDC)では、Q&A形式で、西ナイル熱(ウエストナイル熱)と犬猫について、詳細に説明されていますのでご紹介します。
但し、これは米国での状況についてのものですので、現在、ウェストナイルウイルスが上陸していない日本には当てはまりません。現時点で正確な情報をお伝えする目的で掲載するものです。
CDC: West Nile Virus - QA: West Nile Virus and Dogs and Cats
Q. ウェストナイルウイルス(以下、WNV)は犬や猫に疾病を起こしますか?
A. 2003年中にCDCには比較的少数の犬のWNV感染例(40例以下)と猫では1頭の感染例が報告されています。
犬での実験感染では、WNVの感染後に、犬は症状を示しませんでした。猫では、実験感染後最初の1週間、軽度の非特異的*な症状(軽度の発熱や軽度の嗜眠)を示しました。
多くの飼い主は、ペットの犬猫がWNVに感染しても特別な症状や行動上の変化に気づくことはないでしょう。
*非特異的(ひとくいてき)=決まった型がない
**嗜眠(しみん)=動きが不活発で、倦怠感を示す症状
Q. かかりつけの動物病院では、WNVに感染している(かもしれない)犬や猫にどのような治療をするのでしょうか?
A. WNV感染に対して特定の治療法はありませんが、寛解***は可能です。 治療は対症療法(もし症状があれば、それに対する治療)と、ウイルス感染症の治療時に獣医師が行う抗ウイルス剤による標準的な治療法となるでしょう。
***寛解(かんかい)=病気の症状が軽減またはほぼ消失し、臨床的にコントロールされた状態。
Q. ペットの犬や猫がWNVに感染した場合、家族や他の動物の健康に影響する危険性はありますか?
A. 犬や猫から人へウェストナイルウイルスが伝播(でんぱ)するという報告や証拠(エビデンス)はありません。犬では血流中に他の蚊を感染させるのに十分なウイルスを増殖させないことが分かっています。猫では、犬よりも血流中のウイルス量を少し多めに増殖させますが、そのことで猫から蚊がウイルスに感染するかどうかは分かっていません。ウェストナイルウイルスの感染拡大に猫が重要な役割を果たしていることはないでしょう。
逆に、もしあなたのペットがWNVに感染したとすれば、そのことはあなたの住んでいる地域に、WNVに感染している蚊が生息していることを示します。 そのため、あなた自身が蚊に刺されないような対策(虫よけ薬を使うことと長袖・長ズボンなどの衣服を着ること)を行うべきです。
獣医師は、ウェストナイルウイルスだけでなく他のウイルス感染でも同様に、感染があると思われる動物(鳥を含めて)の手当てを行う際は、一般的な感染防御策を講じるべきです。
Q. 猫や犬はどのようにしてウェストナイルウイルスに感染するのでしょうか?
A. 犬も猫も、感染した蚊に刺されることによって感染します。また、猫では、実験的に感染させたネズミを食べることにより感染することが分かっています。
Q. もしWNVに感染した犬に咬(か)まれたら、私がWNVに感染することはあるのでしょうか?
A. 予備的な実験では、感染した犬のだ液中からウイルスを発見することはできていません。このことから、犬が咬むことによって、WNVが犬から人や他の動物に伝播(でんぱ)する危険性は低いと考えられます。
Q. 犬や猫用に、WNVのワクチンはありますか?
A. ありません。
Q. ウエストナイルウイルスに感染した犬や猫は処分すべきでしょうか?
A. いいえ。ウェストナイルウイルスに感染したという理由だけで、その動物を安楽死する理由はありません。感染からの寛解は可能です。対症療法や、ウイルス感染症の治療時に獣医師が行う抗ウイルス剤による標準的な治療法となるでしょう。
Q. ペットに防虫剤を使用することは可能ですか?
A. 人用に使用が推奨されているDEET(ジエチルトルアミド)を含む防虫剤は、獣医用に承認されていません(たいてい動物は防虫剤をなめてしまうからです)。 ペットに使用するのに適した製品については、獣医師にアドバイスを受けて下さい。
犬猫へのウエストナイルウイルスの感染実験については、医学系ジャーナルのEmerging Infectious Diseases誌(新興感染症)第10巻2004年1月号で、Austgen氏らが、CDC - Experimental Infection of Cats and Dogs with West Nile Virus (犬猫へのウエストナイルウイルスの実験感染) と題する論文を発表しています(リンクから全文を読むことができます)。
投稿者 Yuki : August 13, 2004 02:38 AM