November 30, 2003

飼い主さんとワンちゃんネコちゃんの血液検査の正常値

1.年1回の健康検査の重要性

皆さんは、たぶん年に1回の健康検査を受けておられることと思います。ふだん健康に生活をしているつもりでも、検査で異常がみつかる場合がありますよね。

では、ペットたちはどうでしょうか。小動物は人間よりも早く年をとると言われています。一応の目安として、次の年齢の換算表が挙げられています。

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大日本製薬(株)アニマルサイエンス部のサイトから抜粋

 年齢換算はいろいろありますので、どれが正しいかは別として、人間よりも早く年をとるのは寿命からみて確かでしょう。そのように考えれば、人間の1年の間に何歳も多く年をとり、そして身体の不具合を本能的に隠す動物であるということを考えれば、年1回のペットの健康検査の重要性を理解されるのではないでしょうか。

2.健康検査はいつ受けさせるのが良いのでしょうか?

 4-6月に健康検査を受けようとすると、動物病院は「狂犬病予防」に「ワクチン接種」「フィラリア予防」のための「ミクロフィラリア検査」などで、大忙しです。検査会社も数多くの検体を受けて、検査結果が出るまでに時間がかかってしまいます。また、7月の梅雨時には外耳炎や皮膚病が増えて、来院
が増えますし、8-9月の夏の暑い時期には、ペットにもストレスがかかってしまいます。

 そこで、12-2月の動物病院が比較的すいている時期にペットに健康検査を受けさせるというのも一つの考え方だと思います。
 この時期は、蚊のシーズンも終わっておりますので、ミクロフィラリア検査を受ければ、今年のフィラリア予防の効果を確認することができますし、翌年はすぐにフィラリア予防薬をもらうことができます。
 また、獣医さんも比較的、時間があるので、じっくりと診ることができます。
ふだん忙しくてできない相談もできるかもしれません。

3.血液学的所見の種類とその目的

 血液学的所見では、赤血球数(RBC)、ヘマトクリット値(HtまたはPCV)、ヘモグロビン(Hb)、白血球数(RBC)、血液像(白血球分画)、血小板数(PLT)などを測定します。

人と動物(犬猫)のおおよその正常参考値を下記に示していますのでご覧になって下さい。
人の正常参考値は、「病院で受ける検査がわかる事典、山門 實 監修、成美堂出版(2003年9月20日発行)」に記載の基準値から引用しました。

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赤血球数、ヘマトクリット、ヘモグロビンなどの値から貧血や多血症などの疾患を考えることができます。一般に、数値的には猫は貧血に耐えられるようです。
白血球数(RBC)は感染症の有無や免疫の低下を診断するための検査で、具体的にどんな病気が疑われるかを調べるために、白血球の種類を、好中球、リンパ球、好酸球、好塩基球、単球の5種類に分けて(分画)、さらに調べます。
血小板数(PLT)は出血や止血の機能を検査するためのものです。

4.血液生化学検査の種類とその目的

 採取した血液を遠心分離機にかけると、血球成分と血清成分に分かれます。
血清の成分を化学的に分析することを血液生化学検査といいます。
 血清には、たんぱく質、糖質、脂質、尿素、ホルモン、ビタミン類、酵素などの生命を維持するのに必要な成分が含まれています。血清は、これらの成分を体中の細胞に運び、老廃物を運び出すことで、体内の環境を一定に保つ役割を果たしています。
 血清は、全身の健康状態を反映しているので、血清中の物質がどの臓器から出てきたかを調べることで、内臓、特に肝臓、腎臓などの異常を知ることができます。この検査値だけで病気の診断を下すことはできませんが、診断のための大きな参考になるほか、病気の経過や治療の判定をみるのにも役立ちます。
また、一つの検査値だけで判断するのではなく、例えば腎臓の疾患ならば、血清尿素窒素(BUN)、クレアチニン(Cre)、尿酸、電解質などを組み合わせて検査します。

血液検査と同様に、人と動物(犬猫)のおおよその正常参考値を、以下に示しました。
また、血液生化学検査の基準値は、マルピー・ライフテック(株)の発行する基準値を参考として、雌雄年齢の区別なく上限と下限を記載しました。そのため、通常、正常と考えられる値よりも幅が広いと考えられるかもしれません。 個々のペットの健康検査の結果については、かかりつけの獣医師の先生にご確認下さいますようお願い申し上げます。

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今回は全てを掲載できませんでしたので、また追記したいと存じます。

投稿者 Yuki : November 30, 2003 09:38 PM
コメント

はじめまして。
初めて書込みさせていただきます。(質問でもよろしいのでしょうか?)
yukiさまに、血液検査正常値についての質問です。
ヒトの正常値は引用されておられますが、動物の正常値はどのようにして出されているのか教えてください。
また、犬の場合犬種によってかなり差がある(大中小)ように思いますが、その辺についてももしご存知でしたら教えて下さい。
よろしくお願いいたします。

Posted by: benio : January 5, 2004 06:50 AM

benio様:

返信が遅くなり申し訳ありません。
動物の正常値ですが、上記の通り、マルピー・ライフテック株式会社の犬・猫の血液生化学正常値に加え、「臨床血液化学検査」(友田 勇・著、学窓社・刊)など複数の出典から取りました。
そして、それらの資料の中でも範囲を広い方を記載しております。
その理由は、臨床症状の関係なしに実際の検査値とこのサイトとの比較だけで、獣医師でない方が病気を診断されるようなことがあるのを飼い主さんに避けていただくためです。
逆に、医学の場合は、一般の方々が手にすることのできる書物や資料がたくさんございますので、一つを例示いたしました。

また、benio様が仰られる通り、犬種・年齢・季節・性別・飼育環境、運動などにより数多くの報告があります。

上述の「臨床血液化学検査」(友田 勇・著)では、下記のように記載されています。少し長いですが、以下に一部を引用いたします。

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「血清ALT(GPT)、AST(GOT)活性値は測定法によって、また同一測定法でも各検査室や施設によって若干の相違がある。したがって、表に示したような報告値はあくまでも参考値に過ぎず、的確に異常を把握するためには、それぞれの検査室、施設において、各動物種ごとに独自の正常範囲を設定しておく必要がある。
 市中の検査施設などに測定を依頼する場合(おそらく開業獣医師にはその機会が多いと思われる)は、その施設独自の(被検材料と同一の)動物の正常値(範囲)も併せて報告してもらうことが大切である。
 もしも当該施設などで正常値が設定されていない場合は、評価の際の正常値(範囲)を把握する意味で、初回に最小限複数の臨床上明らかに健康とみられる(病畜と)同一動物の血清試料を同時に送付し、測定を依頼するような処置を取らなければならない。
 なお、なにもアミノトランスフェラーゼに限ったことではなく、すべての血液化学検査項目に適用されることかもしれないが、安易に成書などに記載されている報告値を(単に記載の測定法や単位が同じだからという理由だけで)そのまま利用して評価するようなことは避けたいものである。

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benio様の疑問に答えられていることを心より祈念しております。

Posted by: yuki : January 20, 2004 11:39 PM

譲っていただこうとしているワンちゃんを検討しています。
血液検査の結果を見せていただいたのですが、血小板数が基準より少ないのでネットで調べていたら、「血小板減少症」ではと心配になってきてしまいました。
基準では20~50のところ(ここのページでは基準が12~53になっていました)その子は8,8しかないのです。
以前先天性の奇形で幼いワンちゃんを亡くしているので、健康にたいしてかなり慎重、神経質になっているのですが、気になってます。それ以外ではとっても気に入ったワンちゃんなので
悩んでいます。
この点について解明したいのでご意見下さい。
ちなみにチワワで、その血液検査と同時に行った心電図、ミクロフィラリアは異常なしでした。

Posted by: akubi : May 12, 2004 12:23 AM

akubiさん: こんばんは。返信が遅くなりすみません。
以前先天性の奇形で幼いワンちゃんを亡くしていらっしゃるとのこと、ご心配なさるのももっともなことと拝察いたします。

血小板数の測定は病院内で行われたのでしょうか? と申しますのも、外部機関への測定依頼のために採血管に血液を取った際、よく振って抗凝固剤を混ぜないと、採血管内で血小板が消費されて、検査値としては相当低く出る場合もあるとのことです。
ですから、今回の値が高いかどうかは、検査によって幅があり一概に言えないことをご承知下さい。

検査結果をakubiさんに説明されるとき、獣医師の先生は何とおっしゃられたでしょうか。
血小板数だけでなく血液凝固系を調べて、安心できる範囲かどうかを知ることもできますので、かかりつけの先生にご相談になられることをお勧めいたします。場合によっては、再検査した方が良いかもしれません。

趾爪を切る際に、誤って血管を傷つけた場合など、出血しますが、その出血が止まるまでの時間を計ることで、止血の大まかな評価をすることもできます。犬では5分以内、猫では2.5~3分が正常とされています。もしそれよりも長い場合には、より詳しい検査が必要となります。
(参照資料: 獣医臨床検査 その解釈と診断への応用 石田卓夫先生:監訳 文永堂出版 ISBN4-8300-3145-X)

何かのご参考になれば、幸甚です。

Posted by: Yuki : May 15, 2004 01:14 AM

(akubiさんにメールを送付したところ、下記のご返信をいただきました)

アリガトウございます!
あの後、病院に電話して聞いたのですが、測定する機械の調子の関係上少なく出てしまうので、気になさらないで下さい、といわれました。
だから今回お返事いただいた内容がなんとなく納得できました。
アリガトウございました。
わたしはてっきり少ない→「血小板減少症」とすぐに思ってしまい心配になってました。
デモ、考えたらもしそうだったら去勢の手術で出血止まらなくなっちゃうkじゃらできないですよね。

あと、ひとつ気になるのが、口のまわりが毛が薄い気がするので、検査したのですが、ウイルスや寄生虫ではありませんでした。もしなにかお心当たりがありましたら教えてください。
ちなみに他の数値はすべて基準内でした。
心電図も異常なしでした。

Posted by: Yuki : May 15, 2004 12:16 PM