November 23, 2003

ペットの血液型を知ることからはじめましょう。

皆さんは、ご自分の血液型がA、B、AB、Oの何型であるかをご存知だと思います。また、A型の人はB型の人に輸血できないことなどもご存知でしょう。大半の人はRh(+)型ですが、Rh(-)型の血液型の方は医療機関からそのように連絡を受けていることと思います。

では、自分と一緒に生活しているワンちゃん、ネコちゃんの血液型はどうでしょうか。
あるいは、子猫がほしいと思っておられる飼い主の方は、母猫となる雌猫の血液型はご存知ですか。

もしもB型の母猫に、A型やAB型の子猫が生まれると、生まれたときはとても健康なのに、母猫から母乳をもらうと、状態がどんどん悪くなって、生後1-2日目に突然死するという『新生子溶血』が起こってしまいます。

これは、猫の場合、自分の血液型以外の血液に対して、自然抗体をもっているためです。
特にB型の猫がもつ抗A型抗体は非常に強力で、B型の母猫に、A型やAB型の子猫が生まれると、母乳に含まれる抗A型抗体を、A型(またはAB型)の子猫が吸収してしまい、子猫の体内でA型血液と抗A型抗体が激しく反応して、赤血球が破壊されてしまうのです。

また、輸血の時も同様です。A型の猫にB型の血液は輸血することはできません。同じように、溶血が起こります。
逆に、A型の猫がもつ抗B型抗体は弱いので、もしB型の血液が必要でも、どうしてもA型の血液しかないときは、B型の猫にA型の血液を輸血することは可能とのことです。
(Dr. Urs Giger氏、米国ペンシルバニア大学獣医学部医療遺伝学主任教授、2003年11月16日、第24回動物臨床医学会の講演より)

また、特徴的なことに、猫は種によってB型の血液型の出現頻度が異なります。
下の段にいくほど、B型の頻度が高くなるため、血液型を調べておくと、かなり安心できると思います。
逆にいえば、子猫がほしいのに、生ませても突然死させてしまったりしないように、あるいは急に輸血が必要になったときに困らないように、元気なときに動物病院で健康検査を受けたときに、血液型の判定をしてもらうことをお勧めします。





























表 猫の種類による血液型の分布の違い
猫の種類 A型 B型
シャム、バーミーズ、ロシアンブルー、トンキニーズ 100% 0%
ヒマラヤン、メインクーン、ノルウェージャンフォレスト 93~97% 3~7%
アビシニアン、ジャパニーズボブテイル(元は日本猫)、ペルシャ、バーマン 82~86% 14~18%
ブリティッシュショートヘア、エキゾチックショートヘア、コーニッシュ、デボンレックス 59~73% 27~41%

 ※実際の輸血の際には、ドナー(提供猫)の血液と急性の反応を起こさないかどうか、を確認するためにクロスマッチ試験を行ってから輸血することが必要です。

■犬の血液型

犬には12種類以上の血液型の存在が知られていますが、臨床上、重要であるのはDEA 1.1(犬赤血球抗原)が陽性(+)か陰性(-)であるか、ということです。
米国では、犬全体の約30~50%がDEA 1.1(+)、残り50~70%がDEA 1.1(ー)と報告されています。
DEA 1.1(-)の血液型であれば、DEA 1.1(+)の犬にもDEA 1.1(-)の犬にも輸血が可能です。

猫とは異なり、犬では自然抗体をもっている犬は非常に少ないため、初回の輸血でしたら、血液型を考慮する必要はありませんが、DEA 1.1(-)の犬に、DEA 1.1(+)の血液が輸血されると、体内でDEA 1.1(+)に対する抗体がつくられるので、再度、DEA 1.1(+)の血液が輸血されると抗原抗体反応により急性溶血反応(赤血球が破壊される)が起こります。

15年以上生きるワンちゃんも珍しくない今、輸血の回数も1回とは限らないと思います。
自分のワンちゃんの血液型も、自分のように、ぜひ調べてあげてはいかがでしょうか。

※実際の輸血の際には、猫の場合と同様、ドナー(提供犬)の血液と急性の反応を起こさないかどうか、を確認するためにクロスマッチ試験を行ってから輸血することが必要です。

※どうせクロスマッチ試験を行うのだから、血液型の判定は不要だと考えられる飼い主さんもおられるでしょう。獣医さんでもそのように仰られる方もおられます。しかし、クロスマッチ試験はドナー(供血側)とレシピエント(輸血される側)の血液が、急性の反応を起こすかどうかを調べているに過ぎません。
血液型は、犬種や性別、年齢などと同じく、飼育や診療のための基本情報だとペットポータルは考えます。何でも人と同列に考えるわけではありませんが、ペットの血液型を知ることがもっと当たり前になれば、と思います。そして、それは純血種であっても、雑種であっても同じだと思っています。

投稿者 Yuki : November 23, 2003 12:50 AM
コメント

私も飼い猫の血液型を知りたいです。
かかりつけの獣医さんは、コメントにあるように、クロスマッチで解るから・・とあまり乗り気ではありませんが、飼い主としては知っておきたいと思います。「発売された、キットが高いから」とおっしゃっておりましたが、そんなに高価な物なのでしょうか?
うちのチャーリーはシャムなので、A型だと思いますが、シャムと茶トラのミックスの子とアメショーミックスの子は調べてみないと解りませんね。アメショーはB型の割合が多いと聞きましたが、そうなのでしょうか?純血種でない子は特に調べてみないと解りませんよね。

Posted by: Reiko : December 1, 2003 11:06 PM

うちで飼っている犬(パピヨン・12才)がリンパ球のガンで
輸血を必要としているのですが、病院にもわたしの周りにも、もう輸血をしてくれるようなワンちゃんが居ないのですが、
こうゆう時はどうしたらいいのでしょうか?どなたか良い方法を知っている方教えてください!

Posted by: ひろ : February 29, 2004 10:29 PM

ひろ様:

昨夜にご連絡を頂いていて返信が遅くなりました。すみません。

かかりつけの動物病院の先生が、獣医師会に所属されておられれば、小動物開業部会(呼び方は都道府県により異なりますが)のメーリングリストなどで、近辺の動物病院の供血犬からの提供や献血可能な飼い主さんからの提供を呼びかけてもらえると思います。
また、病院と信頼関係が築けている飼い主さんから血液を分けてもらえることも考えられると思います。
最近、ご相談を受けた飼い主さんの場合では、東京の獣医大学での手術の際の輸血準備の例でしたが、大学病院から飼い主さんに献血を募って、十分、間に合ったとのことでした。
かかりつけの獣医師の先生に、以上の例をお話になられて、必要な血液を外部からもらえるようお祈り申し上げます。
また、出張に出ますので、追加の情報等があれば今日中にご連絡ください。(3月1日午前9:39付のメールの転記です)

Posted by: Yuki : March 2, 2004 12:12 AM

はじめまして。12歳のメス、オスの双子の雑種の犬と1歳3歳のメス猫を飼っております。オス犬の体調が悪そうで散歩の途中で座り込んでしまったので診察を受けたところ肝臓に7..8センチの腫瘍があるといわれ入院して貧血や血液凝固も検査をして3月29日に腫瘍の摘出手術を受けました。手術で腫瘍をほぼ取りきれたそうですが胃と腸壁に癒着があったそうで手術中には輸血が必要なかったそうですがその晩360ccの輸血を受けました。傷口から血液が滲み出しつづけており輸血後は少し改善するけれど不安定な状態が続いております。高齢ということもあり兄弟のメス犬からの輸血は控えられていましたが夕べやむを得ず180cc輸血したそうです。手術したことにより、血液の凝固力が落ちているし、血小板が損傷している可能性もあり今は輸血しか方法がないと、今朝言われました。何とかして手を尽くして助けてやりたいと思い(手術をしないと1年は持たないし突然死の可能性もあるといわれ、また彼の親犬・・家で生まれた子たちですので・・も12歳の時に突然死していますので)藁をもつかむ思いで知り合いにも血液供給を頼めないか探しておりますが、この人工血液を手に入れる方法または他の良い方法がありましたらお教えいただけないでしょうか?

Posted by: 守屋 初美 : April 1, 2004 11:33 PM

守屋さま

メールありがとうございました。
逆に返信が遅くなり申し訳ありません。

札幌・東京と連続で出張しておりまして、メールのチェックが
できておりませんでした。
ワンちゃんのお加減はどうでしょうか。

写真の人工血液ですが、残念ながら昨年12月末で使用期限が切
れております。
都道府県の獣医師会では、臨床部会というものがございま
して、緊急の輸血が必要な場合に、各病院で飼養されている供
血犬の血をまわしてもらえるようにしておられるとのことです

また、大学付属の動物病院でもボランティアで血液を提供して
くださる飼い主さんにお願いできるような関係を作っておられ
るところもあるようです。

まず、現在かかられている獣医さんを最大限ご信頼になられて
、その先生から入手されることをお願いされることをお勧めい
たします。

緊急を要することですので、文章の推敲をしておりませんがそ
のままお送りいたします。

守屋様のワンちゃんのご無事を心よりお祈り申し上げておりま
す。(4月3日 0:52付メールの転記です)

Posted by: Yuki : April 4, 2004 10:42 PM

あるメーカーの血液型検査キットが自主回収されているとのことです(2004年4月15日、投稿者からのご依頼により訂正)。
事前の血液型検査は一部の動物検査センターで行っていますので可能だと思いますが、即時的に血液型を知り得ない状況では「血液型を調べてから輸血しましょう」では間に合わない事も起こり得ると思われます。これらの状況において、「血液型を調べる」と言うことに対する先生のご意見をうかがわせていただけませんでしょうか。

Posted by: ご意見をお願いします : April 15, 2004 10:39 AM

ご連絡ありがとうございます。
本文にも書いております通り、
「※実際の輸血の際には、ドナー(提供猫)の血液と急性の反応を起こさないかどうか、を確認するためにクロスマッチ試験を行ってから輸血することが必要です」
といいますことが小職の考えです。

「ペットの血液型を知ることからはじめましょう」と申しましたのは、「ご意見をお願いします」様の仰られる「「血液型を調べてから輸血しましょう」という意味ではございません。

現在、飼い主さんの後押しを受けて、ボランティアベースで飼い主さんと獣医師の献血のネットワークを作れないかと考えております。そのために、国内外の輸血や献血システムの状況がどうかなどを調査しております。その一連の動きの中で、輸血が必要になってから血液型を調べるということではなくて、平時、健康な状態のときに「血液型を知っておいてはいかがでしょうか」という意味でございます。

お話では「あるメーカーの血液型検査キットに、回収命令が出たようです。」とは、小職の知り得ない情報ですし、動薬検のウェブサイトでも掲載されておらず、非常に有益な情報でありがたいのですが、小職では確認が取れません。「ご意見をお願いします」様はどのようなルートでその情報をお知りになっておられるのでしょうか。
差し支えない範囲でお教えいただければ幸甚です。

なお、ご記入のメールアドレスへ送信してもお届けすることができません。フリーメールで結構ですので、こちらからご連絡が取れるようにして下さいますようお願い申し上げます。
もし不都合があるという場合は、petportaljp@yahoo.co.jp に直接メールを下さっても結構です。

Posted by: yuki : April 15, 2004 11:18 AM

修正いたします。「回収命令が出たようです。」ではなく、「自主回収」を行っているようです。農林水産省に問い合わせたところ、「自主回収の詳しい理由は、メーカーに問い合わせて下さい。」と言われてしました。ご意見、ありがとうございました。

Posted by: ご意見、ありがとうございました。 : April 15, 2004 11:30 AM

メーカーに問い合わせたところ、自主回収の理由を教えていただけました。ここで、投稿記事として掲載して理由を伝えてもよいのですが、直接メーカーに質問された方が誤解がなくて良いかと思います。
申し訳ございませんが、「ご意見をお願いします」の「回収命令」との投稿は間違いでしたので、削除もしくは修正していただけると助かります。

Posted by: ありがとうございました。 : April 15, 2004 11:54 AM

はじめまして。
かかりつけの獣医さんからちょっとお話を伺ったのでお知らせします。

家の猫がFIPを原因とする黄疸で、去年に引き続き今年も輸血しなければいけないかもしれない、とのことでかかりつけ獣医さんに伺ったところ、「猫の血液型検査機関は1箇所しかなく、入会金が何十万もするので、あらかじめ血液型を検査するよりも輸血が必要になった時に適合検査をすることにしている。」というようなお話でした。

我が家には輸血が必要な猫のほかに健康な猫がいるのでその子たちの血液型を調べておいて、家の猫以外にも輸血を必要とする猫がいる場合に献血できれば、と思ったのですが、現状では飼い主にというよりも動物病院に負担がかかってしまうようです。

Posted by: Moru : June 2, 2004 02:36 PM

Moru様:

ご連絡ありがとうございます。
猫用には、第一化学薬品(株)が「ラピッドベット-H 猫血液型判定キット」(http://www.kensa-daiichi.jp/animal/RvH_cat-Top.htm )の製品名で販売しておりましたので、このエントリーを昨年の11月に書き込んでおります。

---------------ここから以下は小職の誤解でした。申し訳ありません。---------------
同社の動物薬事業が6月1日から他社に移管されたのは存じておりましたが、製品が見つからないのは、なぜでしょうか。すべての製品が移管されていないのかもしれません。少し時間を下さい。調べてみます。
---------------ここまで小職の誤解でした。すみません。-------------------------

Moru様がおっしゃられるように、動物病院にも負担の大きい検査は不適当であろうと存じます。輸血の際に、クロスマッチを行えば、最低限のリスクを確認して回避できると考えます。

犬用のラピッドベット-Hは、今年の4月に製品の性能が経時劣化で正常な判定ができないとのことで自主回収されています。
経時劣化ということは、あまり売れなくて在庫になってしまったということでしょうか。
しかし、このように社会的に意義のある製品はぜひ販売を続けていただきたいと存じます。
(次のtani様からのコメントにございます通り、別ロットが輸入され、販売も続けられているとのことです。情報ありがとうございます。)

FIPの猫さんの体調に急激な変化がありませんよう、お祈りしております。

Posted by: yuki : June 2, 2004 11:50 PM

yuki様:

犬・猫の血液型判定キット「ラピッドベット-H 犬血液型判定キット」「ラピッドベット-H 猫血液型判定キット」についてコメントさせていただきます。

まず、6月2日のyukiさんのコメントで「同社の動物薬事業が6月1日から他社に移管された・・・」とありましたがこれは誤りです。
血液型判定キットを販売している第一化学薬品㈱の関連会社(グループ会社)である第一製薬㈱の動物薬事業は他会社に移管されましたが、第一化学薬品㈱の動物薬事業は存続されています。血液型判定キットの販売も続けています。

また、犬用のラピッドベット-Hは確かに自主回収(Lot.4010)されましたがその後、別ロットを入荷し、販売も続けているようですので安心して下さい。

Posted by: tani : June 9, 2004 05:19 PM

tani様:

ご連絡ありがとうございます。また、小職の記載に誤りがありましたことに深くお詫び申し上げます。
早速訂正いたします。
また、ラピッドベット-Hが犬・猫用とも販売されているとのことを伺い、安堵いたしました。
当サイト2004年6月7日のエントリー「いよいよ千葉市獣医師会が血液バンクを準備中」でも記載されていますように、犬猫の血液バンクのドナーリスト登録には、血液型の判定が条件となります。
そのため、簡便に判定できる第一化学薬品㈱の本製品は非常に有用な製品と位置づけられると存じます。
貴重な情報をありがとうございました。

Posted by: yuki : June 9, 2004 11:33 PM